無敵のスピカ

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「･･･俺がいつ、おまえを女として見てない、なんて言った？」



突然物憂げな表情に一変した宏くんはよいしょっとベットから降りてきて距離が近くなる。






「正直、高校生の時、結婚の話を親から聞かされた時はふざけんなって思ったよ。恋愛くらい自由にさせろって。」





うん。健全だね。
ってかそんな前から聞いてたのか。





「でも、それからAをそういう目で見てたらアリかなって思うようになってさ。」


「単純過ぎない？刷り込まれてるじゃん！」





お母さんの宏くんへのただならぬ愛情は
ゆくゆくの婿に向けてのものだったのか。



なんだか妙に納得してしまう。



きっとお父さんやお母さんに私と結婚したらこんなメリットやあんな利点があるから
なんて跡継ぎ欲しさに重々説得されたに違いない。


あの強引なうちの両親のやる事が目に見えるようだよ。




「まあな、刷り込まれてた部分はないことも無いけど。」




やっぱり！そんな結婚嫌なんですけどっ。





「でも、おまえ可愛いじゃん。ガキの頃はうぜーし生意気な妹みたいだなって思ってたけど年頃になってからはどんどんいい女になってくしさ？」


「･･･えっ、」




宏くんの口から私に向けて”可愛い”、とか”いい女”、とか出てくるとびっくりするんだけど。





「そのうち断る理由ねーなって思い出して。その間、俺も好きな子とかいたし、おまえも彼氏いたりしたろ？でも、それはお互い通過点なんだって思ってた。」


「そんな･･･、」


「で、最終的にたどり着いた今はAが他の男と付き合うのとかありえねーなってくらい、おまえの事、執着してる。」


「執着って、」





それってどういう感情？
結婚相手を取られたくないっていう単なる独占欲なのか
それとも私の事を、好き、なのか･･･？




「って事だから、近いうちそろそろ結婚しよう。」




えーーー？？ぶっ飛び過ぎて頭追っつかないってっ。
熟年のカップルみたいなセリフ、なにあっさり吐いちゃってる訳？？

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