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彼女と別れてすぐに、彼に電話をかけた。

お互い連絡先は知っていたものの、メールはおろか、電話すらかけたことなかったよね。

数回の呼び出し音のあと、

「…はい」

っていう、抑揚のない彼の声が聞こえてくる。

「Aです」

「うん」

寝起きなのか不機嫌そうに返されて、ちょっと怯みかけたけど、

「今、出て来れる?
話があるんだけど」

早口で一気にそう畳みかけた。

「今から?」

「うん
これからそっちに行くから、近くまで出てきて
すぐに終わる話だから」

そう言ったら渋々、彼は承諾してくれた。









待ち合わせは、彼の家の傍にある公園。

大急ぎでたどり着いたら、彼はもう既に待ってくれていた。

街灯の下で、寒いのか背を丸めて。

「何かあった?」

…どうしよう。

彼の顔を見ると、急に怖くなってきた。

この目に見つめられながらなんて、とてもまともに話なんかできない。

だから、

「ごめん
これから話すから、向こうを向いててくれないかな」

とか、変なお願いをしてしまう。

背中越しになら、素直に話せると思うんだ。

「…は?何で?」

「いいから、向こう向いて」

怪訝そうな顔をしながらもこちらに背を向けた彼に、2つめのお願いをする。

「これから私の話すことを、黙って聞いててほしい
相槌も打たなくていい
本当にすぐに終わるから」

私の真剣な様子を察してくれたのか、

「わかった」

そう答えて、彼はそれきり静かになった。









「単刀直入に言うね
おじいちゃん達が決めた許嫁の話だけど
あれ、無効にしよう」

驚いて振り返った彼を、手で制する。

「振り返るのもだめ!
お願いだから、黙って聞いてて」

彼は小さな溜息をひとつついて、それでもまた背中を向けてくれた。

「そろそろ宏くんのこと、解放してあげるね
だから宏くんは好きな子と自由に恋愛して、結婚していいんだよ」

彼は黙って背中を向けてくれてるから、もう一気に言いたいことをぶちまけてみる。

「高校に入って、いつも女の子とイチャついてる宏くんを見て、最初はものすごく傷ついてた
私のことが嫌だから、当てつけにそういうことしてるんだろうな、って」

チラリと彼の横顔が見えた。

唇を真一文字に結んで、なんだか怒ってるようにも見えるそんな横顔。

「怒らないで聞いてね
私は小さい頃からずっと宏くんのことが好きだったんだ」

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Haru(プロフ) - moraさん» 私もかなり楽しんでるんだよぉ。でも、まさかわかめさんのみっくんがマネっていうのは発想ないなってときめいた!私もベタに攻めてく事も考えてたんだけど少し趣向を変えてみました。最後までお付き合いくださーい♪ (2020年1月24日 15時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - まきこさん» まきこさーん!みっくんマネもなかなかリアリティあるよね♪ドS発揮しててうずうず(笑)私のはどーなるのかしら(笑)ラブが芽ばえるかどうか、お楽しみに(^^)私なら1度だけで多分ドロドロになってて相手にされなくなるんだわ(笑) (2020年1月24日 14時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - 流布さん» 流布さーん!初コメ!嬉しいです♪やっと更新出来ました!それぞれのお話、楽しんで頂ければと思います(^^)またコメントお待ちしてますね! (2020年1月24日 14時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
mora(プロフ) - 同じ題材で、お二人の話が全然違うのが本当に最高!!!今回は立場も逆だなんて。なんか、お二人凄すぎ。 (2020年1月23日 22時) (レス) id: daf44fdab0 (このIDを非表示/違反報告)
まきこ(プロフ) - アイドルとマネージャー!まさかみっくんがマネージャーとは!!さすがわかめさん!!しかも売れないアイドルに厳しいとか、、最高じゃないですか(>_<)Haruさんの書くマネージャーもドライっぽいけど、、どうなってくのかなー私なら尻尾ちぎれるほど振って行くなぁ。 (2020年1月23日 21時) (レス) id: cfbbd37a93 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りたわかめとHaru x他1人 | 作成日時:2019年9月13日 23時

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