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とりあえず玄関を一緒に出たものの、急に息苦しくなってくる。

やっぱり、彼と2人きりで帰るなんて無理!

緊張し過ぎて、そのうち息が止まってしまいそう。

だから、

「ここでいいよ、1人で帰れるから」

一生懸命作り笑いをして、そう言って見せた。

だって本当は嫌でしょ?

私を送っていくのなんか。

なのに、彼の返事はこれだった。

「Aちゃんてさ…、何でいつも作り笑いばっかしてるわけ?」

彼は簡単に私の手を取ると、そのままやんわりと繋いで歩き始める。








「手、何で繋ぐの?」

「だめ?
いいんじゃないの?未来の奥さんなんだから」

どういう理屈?それ。

彼と手を繋ぐのはうれしいはずなのに、私はその手を振り解きたくて仕方なかった。

…多分、他の女の子と同じように扱われたくなかったんだろう。

脱力している私の手を、彼はぎゅっと掴むようにして、ゆっくりと歩き続けた。









ここから私の家までは、早歩きで15分はかかる。

この速度で歩いてると、30分はかかりそうなんだけど。

何で彼はこんなにゆっくり歩いてるんだろう。

「なんかAちゃんと話すの、久しぶりかもね」

やっぱり彼は、さっきと同じよそ行きの横顔で話しかけてくる。

「…うん」

ああ、やっぱり彼といると、息が苦しい。

「最近どう?学校は」

「…うん、まあまあ」

「楽しい?」

「…楽しい」

ほら、話が弾まない。

子どもの頃の私達は本当に仲が良くて、まるで兄妹のように遊んでたよね。

いつからこうなっちゃったんだろうか。









「今日のじいちゃんの話だけど…」

彼はそう切り出して、隣からじっと視線を送ってくる。

「気にしないでいいから
うちのじいちゃん、古いんだよね、考えが」

「学校の先生になりたいって話?」

「そう
Aちゃんの人生なんだから、好きにすればいいんだし
気にしないで」

…その言葉の裏には、何か含みがあるような気がして、胸がモヤモヤした。

もしかして、許嫁のことも気にするなってことが言いたいのかな。

彼の真意が知りたくて、ついに私は核心を突いてみることにした。

「聞きたいことがあるんだけど」

そう切り出したら、

「何?」

彼は優しくそう答えてくる。

だけど…、急に彼のスマホの着信音が鳴り始めて、

なのにそれを無視して、私の話を聞こうとしてくれるから、

なんだかいたたまれない気持ちになってきた。

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Haru(プロフ) - moraさん» 私もかなり楽しんでるんだよぉ。でも、まさかわかめさんのみっくんがマネっていうのは発想ないなってときめいた!私もベタに攻めてく事も考えてたんだけど少し趣向を変えてみました。最後までお付き合いくださーい♪ (2020年1月24日 15時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - まきこさん» まきこさーん!みっくんマネもなかなかリアリティあるよね♪ドS発揮しててうずうず(笑)私のはどーなるのかしら(笑)ラブが芽ばえるかどうか、お楽しみに(^^)私なら1度だけで多分ドロドロになってて相手にされなくなるんだわ(笑) (2020年1月24日 14時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - 流布さん» 流布さーん!初コメ!嬉しいです♪やっと更新出来ました!それぞれのお話、楽しんで頂ければと思います(^^)またコメントお待ちしてますね! (2020年1月24日 14時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
mora(プロフ) - 同じ題材で、お二人の話が全然違うのが本当に最高!!!今回は立場も逆だなんて。なんか、お二人凄すぎ。 (2020年1月23日 22時) (レス) id: daf44fdab0 (このIDを非表示/違反報告)
まきこ(プロフ) - アイドルとマネージャー!まさかみっくんがマネージャーとは!!さすがわかめさん!!しかも売れないアイドルに厳しいとか、、最高じゃないですか(>_<)Haruさんの書くマネージャーもドライっぽいけど、、どうなってくのかなー私なら尻尾ちぎれるほど振って行くなぁ。 (2020年1月23日 21時) (レス) id: cfbbd37a93 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りたわかめとHaru x他1人 | 作成日時:2019年9月13日 23時

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