2019/05/10 ページ9
裕太が正式に配属される日が、とうとうやってきてしまった。
この1カ月間、どういうスタンスで裕太に接するべきなのか、ずっと脳内でシュミレーションしてきた。
それはなんとも、後ろ向きなシチュエーションで。
・用がない限り、私からは話しかけない。
・なるべく彼の視界に入らないようにする。
みたいな、情けない感じのものばかり。
新しく始まった彼の人生を邪魔したくないなって、思っただけなんだ。
どうやら裕太は別人のように性格が変わって、新しい人生を生きているみたいだし。
社内でも、過去のことは触れずに新人として彼を迎え入れようという雰囲気になっていたから。
横尾さんが気を遣ってくれたのか、宮田くんと裕太のデスクは私の席から遠く離れていた。
しかも私は彼らに背中を向けている状態だから、視界に入ることはないし、
私のデスクの真後ろには、大きな資料棚があるから、彼らも私のことは視界に入らないだろうっていう席。
私の隣席には、新入社員の志穂ちゃん。
たぶん挫折なんかしたことないんだろうなってくらいに真っすぐで、教えたことはすぐに理解するし、要領もいいし、私を全く困らせることのない優等生だった。
そんな優等生の志穂ちゃんは、
「先輩、ランチご一緒してもいいですか?」
って、綺麗な笑顔で私を誘う。
そして、会社近くのカフェの席に着いた途端に、私を質問攻めにした。
「Aさん、玉森くんのことどう思いますか?」
って、いきなり。
「どうって?」
「だって、去年までここで働いてたんですよね?
事故で記憶がなくなったとかで」
「そうだけど…」
「玉森くんって変わってますよね
新人研修って、一週間合宿があるじゃないですか?
その時の自己紹介で、さらっと教えてくれたんですよ」
なんか、裕太らしいな。
そういうところ、さらっと包み隠さず話してくれたりするんだよね。
「さっき他の社員さんに聞いたんですけど、当時の玉森くんと今の玉森くんって別人みたいだって
Aさんもそう思いますか?」
「…まだ、今日見かけただけだし、私もわかんないんだけど」
「昔の玉森くんはあんまりしゃべらなくて、クールで無表情で、職場の人間関係も一歩引いてるって感じだったらしいんですけど」
うん、確かにそんな感じだったよね。
「今は違うの?」
「違いますよ、全然
よく笑うし、新人同士の飲み会とかも毎回参加してるし」
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りたわかめ(プロフ) - くるりさん» まだ読んでいただいてたらありがたいです。地味に更新しました(/ω\) (2021年6月15日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
くるり(プロフ) - キュンキュンしたり切なくなったりしながら読ませていただいてます!これからの展開がとても楽しみです。更新大変だと思いますが無理せず頑張ってください!応援してます! (2020年8月19日 9時) (レス) id: e6324db40e (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ゆりかさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!実は本当はもっと悲しい設定にする予定だったんですが、書いてるうちにこんな感じに仕上がってしまいましたwこれからもどうぞよろしくお願いします<(_ _)> (2020年3月17日 2時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - いつもいつも楽しく読ませて頂いてます!前の記憶を覚えていないもどかしさであったり、悲しいところもあったり、キュンキュンしたり、本当に大好きなお話です!本当に面白いです!次回の更新も楽しみにしています(^^) (2020年3月9日 5時) (レス) id: 6a4601e7a5 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - みなさん» お返事遅くなりまして、申し訳ございませんでした!記憶喪失になっても、本能で好きになってしまう的な話が書きたくて(/ω\*) (2020年1月13日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2019年10月27日 16時