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恋愛というのは、本当に厄介だ。

1人の人間に、こんなに邪悪な感情を植え付けてしまう。

好きな人を自分のものにしたいがために、志穂ちゃんはどんどん道を外れていく。

電話の向こうの、やけに自信たっぷりな志穂ちゃんの声を聞きながら、私は意外と冷静にそんなことを考えていた。

『私、これから玉ちゃんに会うんです』

「…そう」

『Aさんが今、きちんと別れるって約束してくれたら、私は玉ちゃんに何もしないって約束します』

すごい自信だな。

うらやましいくらいに、いつも志穂ちゃんは自信に満ち溢れている。

私が裕太と別れても、志穂ちゃんと付き合うなんて保障はないのに。

まるで絶対に付き合えるかのように、私に別れを迫ってくるとか。

そんなに裕太のことが欲しいんだなと思ったら、一気に冷静になれた。

だって、私はそこまで熱くなれないから。







「いいよ、別れてあげる」

半分、投げやりな気分でそう言った。

どうせ私達は、このまま進んでもどちらとも壊れてしまう。

私が海外に左遷されるくらいで被害がすむのなら、それでいい。

「その言葉、信じていいんですよね?
私から玉ちゃんに話してもいいですか?」

「いいよ…」

頭がガンガンする。

もうこれ以上話すことはないから、予告なしにそのまま電話を切ったけど。

志穂ちゃんからかけ直してくることはなかった。








家に着いた私が一番にしたことは、引っ越しの準備だった。

必要最低限しか持って行かないことにしよう。

ここにある荷物は実家に送って預かってもらうとして、もう必要のないものは捨てて行こう。

そう決めたら、後はもう体を動かすのみ。

体を動かしていたら余計なことは考えないで済むから。

異動の少し前には台湾へ行って、向こうの生活に慣れないと。

こんな作業をしているうちにも、裕太から何度か着信があったけど、今は出る気になれなかった。

何を話していいかわかんないんだ。

今夜、裕太は志穂ちゃんに会うことになっているから。

そこで裕太は、志穂ちゃんの口から私が別れを口にしたことを聞くだろう。






だけど正直、私は決めあぐねている。

このまま2号である裕太と一緒にいることが、ずっと苦しかったんだ。

1号に対する罪悪感がいつも心の奥に潜んでいたから。

なんだか、1号を裏切ってるような気がして。

だから、これで少しは、楽になれるかな。

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りたわかめ(プロフ) - くるりさん» まだ読んでいただいてたらありがたいです。地味に更新しました(/ω\) (2021年6月15日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
くるり(プロフ) - キュンキュンしたり切なくなったりしながら読ませていただいてます!これからの展開がとても楽しみです。更新大変だと思いますが無理せず頑張ってください!応援してます! (2020年8月19日 9時) (レス) id: e6324db40e (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ゆりかさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!実は本当はもっと悲しい設定にする予定だったんですが、書いてるうちにこんな感じに仕上がってしまいましたwこれからもどうぞよろしくお願いします<(_ _)> (2020年3月17日 2時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - いつもいつも楽しく読ませて頂いてます!前の記憶を覚えていないもどかしさであったり、悲しいところもあったり、キュンキュンしたり、本当に大好きなお話です!本当に面白いです!次回の更新も楽しみにしています(^^) (2020年3月9日 5時) (レス) id: 6a4601e7a5 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - みなさん» お返事遅くなりまして、申し訳ございませんでした!記憶喪失になっても、本能で好きになってしまう的な話が書きたくて(/ω\*) (2020年1月13日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2019年10月27日 16時

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