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自分にまだ、こんな情熱が残ってるなんて思ってもみなかった。

1号と付き合ってる時は、こんな風に自分からキスすることなんてなかったし、

不思議なことに唇の感触は昔と変わらないのに、2号とのキスは何かが違った。

もう一回したいな、とか思いながら唇を離すけど、手首を引き寄せられてもう一回。

2号のキスはどことなく、ぎこちなくて純粋な感じ。

1号のキスは、手慣れてて少し強引で大人な感じだったから。

でも私は、2号のキスの方が好きかもしれない…。

唇を離したあとも、裕太はまっすぐ純粋な目で私を見つめてくる。

何か言いたげにしてるけど、言えないのかしばらくして視線を落とした。








1号と2号は似ているようで、やっぱり違う人間なんだと思う。

こんな風に壁にもたれて2人でテレビを無言で見ることも、1号とはよくあった。

だけど2号はやんわりと、手のひらを重ねてくる。

その仕草もとても自然で、触れてる手のひらから気持ちが伝わってくるような感じ。

たまに横顔をチラ見してみるけど、満足げなその横顔は、私の視線に気付くとはにかんだように目尻を下げる。

2号とは、会話のない空間でも全然苦痛じゃない。

1号の時はどうだったっけ。

あの頃の私はなんか、もっと恋愛にがっついてたような感じだったのに。

今の2号との恋愛は、至極穏やかに進んでるような気がする。








そんな時間の中、不意に裕太が口を開いた。

「今日は泊まってく?」

そんな大胆なことを聞いてきた割には、裕太はそれとは真逆に、余裕のない横顔をしていた。

それに、なんか2号らしくない言い方だった。

どちらかというとその言葉は、1号が言いそうな雰囲気だったかも。

でも本音を言えば、私も今日は帰りたくないなって思ってた。

だから、

「いいよ」

そう答えたのに、裕太は驚いたようにこちらに顔を向ける。

「え…、いいの?」

「だって裕太が言ったんじゃん、泊まってく?って」

「そうだけど、今のって…」

そう言いかけて、裕太は言葉をそのまま呑み込んだような気がした。







「じゃあ、一旦帰ってきていい?」

そう訊ねたら、裕太はすかさず、

「何で?」

って、聞き返してくるけど。

いきなり泊まるとか、女子にはいろいろと準備が必要なわけで。

とりあえず一旦帰宅して、明日の準備も用意して、1時間後にまた戻ってくる約束をした。

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りたわかめ(プロフ) - くるりさん» まだ読んでいただいてたらありがたいです。地味に更新しました(/ω\) (2021年6月15日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
くるり(プロフ) - キュンキュンしたり切なくなったりしながら読ませていただいてます!これからの展開がとても楽しみです。更新大変だと思いますが無理せず頑張ってください!応援してます! (2020年8月19日 9時) (レス) id: e6324db40e (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ゆりかさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!実は本当はもっと悲しい設定にする予定だったんですが、書いてるうちにこんな感じに仕上がってしまいましたwこれからもどうぞよろしくお願いします<(_ _)> (2020年3月17日 2時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - いつもいつも楽しく読ませて頂いてます!前の記憶を覚えていないもどかしさであったり、悲しいところもあったり、キュンキュンしたり、本当に大好きなお話です!本当に面白いです!次回の更新も楽しみにしています(^^) (2020年3月9日 5時) (レス) id: 6a4601e7a5 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - みなさん» お返事遅くなりまして、申し訳ございませんでした!記憶喪失になっても、本能で好きになってしまう的な話が書きたくて(/ω\*) (2020年1月13日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2019年10月27日 16時

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