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「それは俺からきちんと話す」
話すってどういう風に?
裕太のことだからストレートに言い過ぎて、彼女を追い詰めてしまいそうで怖いんだけど。
「Aさんが好きだって、俺から伝えておく」
「志穂ちゃんは、本当に裕太のことが好きなんだと思うよ
そんなことで諦めると思えないんだけど」
裕太は志穂ちゃんのことを舐めてる。
きっと志穂ちゃんは今までの人生の中で、大きな挫折なんかしたことなくて、ずっと勝ち組の道を突き進んできた子なんだよ。
そんな子が簡単に引き下がるわけない。
なのに裕太は何故かニヤニヤとうれしそうに笑っては、目が合うとふと逸らしてくる。
「何で笑ってんの?」
それには答えてくれないくせに、裕太は私に向かって指を伸ばしてくる。
少し遠慮がちに一本だけを私の頬に乗せると、すっと流すように撫でて、
「俺のこと、1号だと思ってくれていいから」
そんな意味深なことを口にしては、満足そうに微笑んだ。
「そんなことできるわけない
1号と2号は違うんだから」
「全然違う?
似てるところはない?」
大体同じだけど、根本的なところは違うような気がする。
2号は素直で純粋すぎるんだ。
1号はもっと複雑で、自分の気持ちをはっきり口には出さなかったり、何も言わずに我慢してしまうような感じだった。
2人が融合したら、もっといい感じなのかもしれないね。
「もしかして、1号に寄せようと思ってる?
そんなの違うと思う
2号は2号の良さがあるんだから、そのままでいてほしい」
なのに裕太は、簡単には折れてはくれない。
「1号との話を聞くのもだめ?」
「だめ
私は2号に、1号になってほしいわけじゃないから」
1号だの2号だのと言うのも、あんまり好きじゃない。
中身は違う人間だけど、そこにいるのはやっぱり裕太なわけで。
私も裕太に恐る恐る手を伸ばす。
そっとその頬に手のひらで触れたら、裕太は幸せそうに瞼を閉じる。
その仕草も、1号と同じ。
いつも私から触りに行ったら、幸せそうに瞼を閉じてされるがままになってくれてたっけ。
もう1号でも2号でもどっちでもいいや。
そんな気持ちになってくる。
裕太が傍にいてくれて、私のことを頑なに好きだと言い続けてくれるのなら、
もう中身がどっちだろうがどうでもいい。
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りたわかめ(プロフ) - くるりさん» まだ読んでいただいてたらありがたいです。地味に更新しました(/ω\) (2021年6月15日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
くるり(プロフ) - キュンキュンしたり切なくなったりしながら読ませていただいてます!これからの展開がとても楽しみです。更新大変だと思いますが無理せず頑張ってください!応援してます! (2020年8月19日 9時) (レス) id: e6324db40e (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ゆりかさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!実は本当はもっと悲しい設定にする予定だったんですが、書いてるうちにこんな感じに仕上がってしまいましたwこれからもどうぞよろしくお願いします<(_ _)> (2020年3月17日 2時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - いつもいつも楽しく読ませて頂いてます!前の記憶を覚えていないもどかしさであったり、悲しいところもあったり、キュンキュンしたり、本当に大好きなお話です!本当に面白いです!次回の更新も楽しみにしています(^^) (2020年3月9日 5時) (レス) id: 6a4601e7a5 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - みなさん» お返事遅くなりまして、申し訳ございませんでした!記憶喪失になっても、本能で好きになってしまう的な話が書きたくて(/ω\*) (2020年1月13日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2019年10月27日 16時