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もうこうなったら、きちんと話しておこうと思った。

2号は思った以上に優しい子だから。

なんなら、1号より優しいかもしれない。

「正直に言うね
私と裕太は付き合ってた」

裕太は神妙な面持ちで、じっと私の話を聞いてくれていた。

本当はもう、とっくに気付いてたと思うけど。

「2号の夢に出てきたのは、1号の本当の記憶だと思う
ラストのケンカ別れしてしまう場面も、本当にあったことだから
その後に裕太は事故に遭って、それきりになった」









「…何で言わなかったわけ?
記憶を失くしたばっかの俺に、実は彼女だったって」

「言えるわけない
全然知らない人からそんなこと言われて、恋愛感情もないのに彼女面されたら嫌でしょ?」

「そう?
もしかしたら、あっさり受け入れてたかもよ」

あんまり裕太があっけらかんと言うもんだから、思わず笑ってしまった。

「よく言うよ
私が毎日お見舞いに行ったら、露骨に迷惑そうな顔をしてたくせに」

そう言っただけで裕太は、不貞腐れたように視線を落とす。

そういうとこだよ。

1号はそういうとこを私に見せてこなかった。

こういう素直で甘えたような仕草は、2号だけのオリジナルみたいなものなんだと思う。









「だから、付き合えばいいじゃん、俺と
俺の記憶が戻る手伝いをしてよ」

狡いな、その言い方は。

そんな言い方をされたら、断れないじゃん。

「2号は記憶を戻したいって思ってるの?」

「思ってる」

「本当に?」

「本当」

「さっき、自分が消えてなくなったらどうしようって言ってたくせに?」

私も2号が消えちゃうのは嫌だ。

できれば、2号の記憶をキープしたままで、記憶を戻してほしいと願う。

でもそれって、私のエゴなのかな。









「いいよ」

もう、こう言うしかなかった。

私は1号が好きで、2号も好き。

この2人が1つになってくれれば、私の後悔や苦悩は消えてなくなるような気がして。

「じゃあ、今からね」

つい数十分前まで深刻な空気が漂ってた2人の間に、暖かい空気が流れはじめる。

なんだか不思議。

本当なら私は、2号を受け入れるつもりなんかなかったし、全てを諦めかけてたのに。

だけどその前に、私達には解決しなければならない問題がある。

「志穂ちゃんのこと、どうするの?
私、2人がうまくいくように協力するって言っちゃったのに」

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りたわかめ(プロフ) - くるりさん» まだ読んでいただいてたらありがたいです。地味に更新しました(/ω\) (2021年6月15日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
くるり(プロフ) - キュンキュンしたり切なくなったりしながら読ませていただいてます!これからの展開がとても楽しみです。更新大変だと思いますが無理せず頑張ってください!応援してます! (2020年8月19日 9時) (レス) id: e6324db40e (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ゆりかさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!実は本当はもっと悲しい設定にする予定だったんですが、書いてるうちにこんな感じに仕上がってしまいましたwこれからもどうぞよろしくお願いします<(_ _)> (2020年3月17日 2時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - いつもいつも楽しく読ませて頂いてます!前の記憶を覚えていないもどかしさであったり、悲しいところもあったり、キュンキュンしたり、本当に大好きなお話です!本当に面白いです!次回の更新も楽しみにしています(^^) (2020年3月9日 5時) (レス) id: 6a4601e7a5 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - みなさん» お返事遅くなりまして、申し訳ございませんでした!記憶喪失になっても、本能で好きになってしまう的な話が書きたくて(/ω\*) (2020年1月13日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2019年10月27日 16時

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