星になんか願わない -Ａ

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「うん、聞いた
でもAさんと再会して、なんか変な気分になるっていうか…
胸がざわざわするみたいな」

そんな裕太の答えに、いちいち喜んでしまう自分が嫌だ。

この店に連れてきたのだって、本当は裕太に思い出して欲しいだけなのかもしれないのに。

「もしそうだったら、玉森くんはどうするの？」

こんな挑戦的な言葉を返してしまったことを、私はすぐに後悔していた。









「もしそうなら、申し訳ないなって
俺、全部忘れてるから」

真顔でさらりとそう答えられて、私はひどく傷ついてしまった。

そうだよね…。

実は元カノでしたとか突然言われても受け入れられないだろうし、罪悪感しか湧かないだろうし。

それならもういっそのこと、私に変な期待をさせないで欲しい。

「大丈夫だよ
私達はただの同期だから」

作り笑顔でそう答えたら、裕太はあからさまに安心した目になるから。

…更に傷ついた。

やっぱり、ホッとしてんじゃん。

もしかして、ずっと疑ってた？私達の関係のこと。

もしそうだったら厄介だなとか、思ってた？

もう嫌だ。

そんなに私の態度って、怪しかったかな。

一生懸命、平静を装っていたつもりだったのに。

もう…、裕太のいない世界に行けたらいいのに。








「１号に告白されたりしたことはなかった？」

裕太は今度はそんなことを聞いてくる。

だけど私は、また嘘をつく。

「…ないよ」

「口説いたりとかは？」

「ない
でも何でそんなこと聞くわけ？」

「復職してからずっと、Aさんのことが気になるっていうか…
Aさんを見てると、胸がざわざわするから
もしかして１号は、Aさんのことが好きだったのかな、って」

真っ直ぐな目をして素直な気持ちを教えてくれる裕太を見ていたら、余計に悲しくなってきた。

やっぱり目の前の彼は、裕太じゃなくて２号なんだ。

昔の裕太なら、素直な気持ちなんて簡単には教えてくれなかった。

感情を何かしら自分の中で消化しちゃうような人だったから。

ああ、もう裕太はいなくなったんだな。

自分のことを２号と呼ぶ彼を見ていたら、もう赤の他人としか思えなくて。

もう、この世のどこを探しても、私の知ってる裕太はいない。

裕太はもう、死んでしまったんだと、

その夜、ようやく実感できた。

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