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2019/06/07 ページ19

結局、宮田くんに強引に仕切られて、

退社後に待ち伏せされるかのような形で、会場まで連れて来られてしまった。

「志穂ちゃんは?」

「断ったよ、同期じゃないし」

マイルドな笑顔でそう答えられて、なんだか可笑しくなってきた。

「宮田くんってさ、底なしに優しそうなのに、意外とシビアなんだね」

「そう?
俺、誰にでも優しいってわけじゃないから
優しくしたい人にしか、優しくしないよ」

なんか、意外だ。

そしてもっと意外だったのは、連れて来られた個室には裕太しかいなかったことだった。

驚いてる私に宮田くんは、

「今日、3人だけなんだ、同期会」

とか言いながら、私を奥の席へ座らせた。

…てか、裕太の真ん前の席じゃん。

もしかして宮田くん、何か企んじゃってる?









「何で今日は3人?」

思い切って、そう訊ねてみたら、

「だって俺らよく来てたじゃん、3人で
久しぶりに集まるのもいいかなーって」

宮田くんはそんな曖昧な返事をしながら、勝手に注文を始めてしまった。

顔を上げたら、不意に裕太と目が合ってしまう。

…なのに、そんなにあからさまに逸らさなくてもよくない?

「Aちゃん、何飲む?」

宮田くんにそう聞かれた私は、不貞腐れてこう答えた。

「…日本酒、冷で」

「いきなり?大丈夫?」

「大丈夫」

てか、飲まなきゃやってられないんですけど。

…絶対、宮田くんは何か企んでんだよ。

裕太だって、気まずそうにしてるじゃん!









…最初に日本酒なんか飲むんじゃなかった。

正直早いペースで酔っちゃって、もう顔は熱を持ってるし、眠くて仕方ないんだけど。

それでも、会話は宮田くんを中心に回ってるけど、私と裕太の間には、特に会話はない。

宮田くんを通じて話してるみたいな。

ヤバいな…。

けっこう早いペースで飲んじゃったから、結構辛いんだけど。

とりあえずトイレに立って、

パウダールームの鏡に映った私は、もう見るも無惨なくらいに真っ赤で。









…もう無理だ、帰ろう。

そう思って個室に戻ったら、何故か裕太しかいなかった。

「宮田くんは?」

「帰った
彼女から呼び出されたって」

また、2人の間に気まずい空気が流れる。

「…じゃあ、私達も帰る?」

気を使ってそう言ったのに、何故か裕太はこんなことを言い出した。

「てか、場所変えない?
Aさんと、もうちょっと話したいんだけど」

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りたわかめ(プロフ) - くるりさん» まだ読んでいただいてたらありがたいです。地味に更新しました(/ω\) (2021年6月15日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
くるり(プロフ) - キュンキュンしたり切なくなったりしながら読ませていただいてます!これからの展開がとても楽しみです。更新大変だと思いますが無理せず頑張ってください!応援してます! (2020年8月19日 9時) (レス) id: e6324db40e (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ゆりかさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!実は本当はもっと悲しい設定にする予定だったんですが、書いてるうちにこんな感じに仕上がってしまいましたwこれからもどうぞよろしくお願いします<(_ _)> (2020年3月17日 2時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - いつもいつも楽しく読ませて頂いてます!前の記憶を覚えていないもどかしさであったり、悲しいところもあったり、キュンキュンしたり、本当に大好きなお話です!本当に面白いです!次回の更新も楽しみにしています(^^) (2020年3月9日 5時) (レス) id: 6a4601e7a5 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - みなさん» お返事遅くなりまして、申し訳ございませんでした!記憶喪失になっても、本能で好きになってしまう的な話が書きたくて(/ω\*) (2020年1月13日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2019年10月27日 16時

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