2019/06/05 ページ18
宮田くんにそんな話を聞かされても、私は意外にショックを受けなかった。
だって、この世にもう裕太はいなくて。
その裕太が私にプロポーズを考えてたとか、それはもう過去の話だから。
その後も、私達の関係はたいして変わらず。
接点もないし、会話もない。
ただひとつ変わったとすれば、たまに廊下ですれ違う時に、裕太は目を逸らさなくなったこと。
真っ直ぐに私の目を見て、軽く頭を下げるようになった。
だけどその度に、裕太を遠くに感じて、余計に傷ついてた。
きっと私達の関係は、これ以上進まない。
同僚止まりで終わりだ。
それに、志穂ちゃんの裕太への猛アピールは日増しにエスカレートしていき、あれ以来私に対してもやたらと牽制してくるようにももなった。
「昨日、玉ちゃんとランチしたんです」
とか、
「玉ちゃんって意外と●●なんですよ」
なんて、聞きたくもないことをいちいち報告してくる。
昼休み、宮田くんからLINEが届いた。
「金曜日の夜、暇?
同期会しようって話になってんだけど」
同期会…。
もう長いこと、参加してなかったな。
1年に何回かあって、いつも裕太とは別行動でしれっと参加してたっけ。
私達が付き合ってることは、本当に一部の人間しか知らなかったから。
返事を渋ってたら、とうとう宮田くんに給湯室に呼び出されてしまった。
「行こうよ、同期会」
あんまり熱心に宮田くんが誘うもんだから、
「とりあえず行く方向で考えてみる」
とか、曖昧な答え方でお茶を濁す。
だけど、いきなり給湯室にやってきた志穂ちゃんに、
「同期会って何ですか?」
と、割り込まれてしまった。
一瞬、困り顔になった宮田くんは、それでも笑顔を絶やさないで、
「年に何回か、同期の集まりがあるんだよ」
なんて、当たり障りなく報告している。
「それって、玉ちゃんも行くんですか?」
「…さあ、聞いてないからわかんないけど」
「それって、私が参加しちゃダメな感じですか?」
普通はこんなこと言えないよね。
同期会なんだから、同期じゃない人が参加するのなんて遠慮するもんだと思う。
だけど志穂ちゃんは怯まない。
最近、そんな志穂ちゃんを心から羨ましく思うんだ。
私にもそんな勢いがあったら、きっと裕太を諦めたりなんかしなかった。
「私が彼女だったんだよ」って、強引に押し切ることもできたかもしれないのに。
1825人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りたわかめ(プロフ) - くるりさん» まだ読んでいただいてたらありがたいです。地味に更新しました(/ω\) (2021年6月15日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
くるり(プロフ) - キュンキュンしたり切なくなったりしながら読ませていただいてます!これからの展開がとても楽しみです。更新大変だと思いますが無理せず頑張ってください!応援してます! (2020年8月19日 9時) (レス) id: e6324db40e (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ゆりかさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!実は本当はもっと悲しい設定にする予定だったんですが、書いてるうちにこんな感じに仕上がってしまいましたwこれからもどうぞよろしくお願いします<(_ _)> (2020年3月17日 2時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - いつもいつも楽しく読ませて頂いてます!前の記憶を覚えていないもどかしさであったり、悲しいところもあったり、キュンキュンしたり、本当に大好きなお話です!本当に面白いです!次回の更新も楽しみにしています(^^) (2020年3月9日 5時) (レス) id: 6a4601e7a5 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - みなさん» お返事遅くなりまして、申し訳ございませんでした!記憶喪失になっても、本能で好きになってしまう的な話が書きたくて(/ω\*) (2020年1月13日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:わかめ | 作成日時:2019年10月27日 16時