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『今朝、玉森くんの家族から連絡があって知ったんだけどね
もう意識は戻ったらしいけど、頭を打ってるらしくて
もしかしたら障害が残るかもしれないって』

『じゃあ、職場復帰は難しい感じですか?』

『それはまだわからないけど、今日の昼休みに見舞に行って話を聞いてくるから』

そんな上司達の会話も、全く耳に入らなくて。

あの時、どうして私は裕太を責め立てたんだろう。

そんな後悔で、胸が潰れそうでした。









社内で私達の関係を知ってるのは、隣の課の同期の宮田くんと、

私と同じマンションに住んでることで、偶然、私達の関係を知ってしまった、同じ課の先輩の横尾さんとの2人だけ。

昼過ぎ、病院から帰ってきた上司は、他の社員たちと何かひそひそと話をしていて、私達には何も教えてくれなかった。

横尾さんがそっとやってきては、

「仕事が終わったら、宮田と3人でお見舞いに行かない?」

いつもの気難しい顔をして、こっそり囁いてきた。

「行きます!」

「じゃあ、宮田にも声かけとく」

他人のことに興味無さそうな感じなのに、こういう時の横尾さんは熱いよね。

前にも私が仕事でミスをした時も、庇ってくれて一緒に頭を下げてくれたんだよ。

…まあ、裕太は全部忘れちゃってるんだろうけど。









病室に入ったら、裕太の家族は出払っていて。

病室には私達と裕太の4人だけでした。

あなたは眠っていたけど、私達が入って来た気配に気付いて、怠そうに瞼を開いた。

そして、怪訝そうに、

「誰…、ですか?」

と、警戒心と空虚の入り混じった目で、私達を見ていた。

それでも私達はまだ、あなたが記憶をなくしてることなんて知らなくて。

「どうしたの?玉
俺だよ?宮田だって」

いつもの感じで宮田くんがベッドに近寄ったら、あなたはあからさまに逃げようとしたから、

宮田くんはそのまま、動きを止めてしまった。

緊張感の漂うの沈黙のあと、さっきまで一番後ろにいた横尾さんが、ゆっくりとベッドの脇に立って。

「警戒しなくていいから
俺は、君の上司の横尾っていうんだけど」

冷静にそう話す横尾さんを見て、あなたは少しだけ警戒を解いたものの、

体中、包帯やネットだらけの状態で、見たこともない空虚な目をして私達を眺めていた。

「警戒しなくていいから
後ろの2人は君の同僚
わかった?」

その問いかけに、あなたは小さく頷いてみせた。

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りたわかめ(プロフ) - くるりさん» まだ読んでいただいてたらありがたいです。地味に更新しました(/ω\) (2021年6月15日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
くるり(プロフ) - キュンキュンしたり切なくなったりしながら読ませていただいてます!これからの展開がとても楽しみです。更新大変だと思いますが無理せず頑張ってください!応援してます! (2020年8月19日 9時) (レス) id: e6324db40e (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ゆりかさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!実は本当はもっと悲しい設定にする予定だったんですが、書いてるうちにこんな感じに仕上がってしまいましたwこれからもどうぞよろしくお願いします<(_ _)> (2020年3月17日 2時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - いつもいつも楽しく読ませて頂いてます!前の記憶を覚えていないもどかしさであったり、悲しいところもあったり、キュンキュンしたり、本当に大好きなお話です!本当に面白いです!次回の更新も楽しみにしています(^^) (2020年3月9日 5時) (レス) id: 6a4601e7a5 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - みなさん» お返事遅くなりまして、申し訳ございませんでした!記憶喪失になっても、本能で好きになってしまう的な話が書きたくて(/ω\*) (2020年1月13日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2019年10月27日 16時

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