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『本気で言ってる?』

今度はしっかりと怒ったような声でそう言われて、思わず私は身構える。

どんなに説得したって無理だよ。

もう決めたんだもん。

昨日の夜からずっと考えてた。

今我慢すれば、この先ずっと一緒にいられるはずから。

私達のことを何も知らない他人から、水を差されたくないんだ。

「元々、私達はお試し恋愛みたいなものじゃなかった?
卒業式に先生を振るかどうか決めるって話だったし。」

思ってもないことを口にするのは辛い。

本当はお試し恋愛なんて思ってないよ。

だけど、そうでも言わないと先生は折れてくれないじゃん。









『…Aは、それでいいの?』

電話の向こうの先生の声が、変に冷たく聞こえて、まるで知らない人と話してるみたいに感じた。

ごめんね、上手にできなくて。

一生懸命考えたけど、この方法しか思い浮かばなかったんだ。

だから、

「いいよ。」

わざと平気ぶってそう言った。

たぶん、先生には全部お見通しなんだろうけど。

『…わかった。
Aの好きなようにしたらいい。』

先生は感情の見えない声でそう呟くと、

『でも、勉強だけはちゃんとして。
課題は毎日、メールで送るから。
プリントや問題集はポストに入れとく。
あと…、三食きちんと食べて、よく寝ること。』

まるでお母さんみたいな指示を出してくる。

『何かあったら電話して。』

そう言い残して、電話は切れた。

こんな私のこと、先生は呆れちゃったかな。

それとも、ホッとした?









電話が切れた後、ベッドに仰向けに寝転がる。

久しぶりに見る天井の模様をぼんやり眺めながら、懸命に自分の気持ちを宥めていた。

卒業式まであと、1ヵ月と半月。

それまで先生と会わずにいれば、全ては丸く収まるはずなんだ。

卒業式で私は、先生にもう一度告白する。

ちゃんと告白するから。

それまで待ってて。

そして私は、先生に好きと一方的に告げて困らせていた、あの時の感情に戻ろうとしていた。

先生からの見返りは何も求めない、私だけが先生のことを好きでいる、そんなあの頃の身勝手な感情に。

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わかめ(プロフ) - コメントありがとうございました!返信が二か月も遅くなりまして、大変申し訳ないですー(*'ω'*)これからはコンスタントにそこそこ更新できそうです。どうぞよろしくお願いします(*'ω'*) (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わかめさん» ずっと更新待ってました!!!今から読みます!!! (2018年1月7日 8時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» いつもいつも、更新遅めで申し訳ないです(/ω\)引き続き読んでいただけたらうれしいです(*'ω'*) (2018年1月7日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わああああ〜〜〜ありがとうございます (2018年1月2日 22時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» お待たせいたしました。先程更新いたしました。ご期待に副えるかどうか心配ですがwwwこれからもどうぞよろしくお願いしますm(__)m (2018年1月2日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2017年12月29日 22時

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