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目が覚めると隣には、もう先生はいなかった。

急いでベッドから這い出して、リビングへ移動すれば、

テーブルの上で、難しい顔をして新聞を広げている先生がいた。

私に気付くと、

「A、寝過ぎじゃない？」

って、少しだけ微笑んで、すぐにまた視線を新聞に落とす。

「何見てんの？」

向かいの席に座って新聞を覗き込むと、昨日見たセンター試験の問題が掲載されていた。

「今日は、これを見ながら自己採点して。
センターリサーチに提出するから。」

先生は新聞に視線を落としたまま、今日の予定を告げた。

「センターリサーチって何？」

「センター試験を受験した生徒から自己採点のデータを集めて、集計して合格判定の予想を出すわけ。
それでＡかＢの判定が出たら、合格の可能性が高いってこと。」

「Ｃ判定以下だったら？」

「…合格率４０％ってとこ？
だから一般入試の二次募集に出願しないといけなくなる。」

そういうの、早く説明しといてよ。

先生は勉強しろばっかりで、そういう試験の段取りは全然教えてくれなかったじゃん。









朝食を食べながら自己採点を始めると、先生の表情は曇っていく。

「…お前、数学ヤバくない？」

「ヤバい？」

「ヤバいかもね…。
まあ、英語と国語がいい感じだから、そっちで得点を稼げばワンチャンあるかもって感じかな。」

全ての自己採点が終わった頃、長妻くんから久しぶりに電話がかかってきた。

てっきり、センター試験の自己採点の話かと思ってたのに。

『A、変な噂が流れてんの知ってる？』

「何それ？」

『玉森先生とAが付き合ってるって噂。』

「何それ！？」

思わず大声が出てしまう私を、先生は真向いの席からじっとガン見してくる。

『クラスLINEで回ってきたんだけど。
Aが玉森先生の車の助手席に乗ってる写真。』

もしかして、それって昨日の写真？

いつの間に撮られちゃったんだろう！？









「昨日、センター試験会場まで車で送迎してもらったから、その時の写真じゃない？」

なるべく平静を装って答えてみる。

『ならいいけど。
なんか学校にも画像がメールで送られてるらしいよ。』

…それって絶対、菜乃花さんだよね。

昨日は現れないと思ってたら、しっかり写真を撮ってたんだ…。

そんな話をしているうちに、先生にも電話がかかってきて、

「ちょっと学校から呼び出しかかったから行ってくるわ。」

って、先生は身支度を始めてしまった。

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