140 ページ40
その夜、先生が帰って来たのは深夜で。
思いっきり疲れた顔をしてるくせに、私の前で作り笑顔なんか見せてくる。
そんなことしたって、私はすぐに見抜いちゃうのに。
「もう大丈夫だから。」
とか言いながらも、私と目を合わせようとしない。
「何が?」
「もう、あいつは来ないから。」
「会ったの?彼女と。」
「…そう。
インターホンも鳴らなかっただろ、今日。」
「管理人さんにお願いしといたんだよね、昨日。
画像の女の子がインターホンを鳴らしに来たら、声をかけてって。」
そっか、それで一度で終わったんだ。
なのに先生は浮かない顔で、スーツの上着を脱ぎ始めた。
ネクタイを緩めて、そのままソファーに深く体を預けて。
隣に座れば、
「まだ勉強終わってねーだろ。」
とか厳しい口調で言いながらも、条件反射なのか腰に腕を回してくる。
先生って可愛い。
言ってることと行動が真逆だよ。
「本当に終わったの?」
「終わった…。
もう俺に近寄らないって、約束もさせた。」
「スッキリした?」
そう聞けば、先生はじっと私を凝視してくる。
「何でそんなこと聞くわけ?」
「だってスッキリしたって顔してないから。」
「そう?スッキリとかより疲れたから。
…早く課題して。」
早口でそう言い切ると、強引に私をいつものダイニングテーブルに連れて行った。
向かいの席に着くと、ほらまた、私にわからないように軽く溜息をついて。
…絶対、何かあったに決まってんじゃん!
結局その日の夜も先生は先に寝ちゃって、事情聴取をすることもできなかった。
翌日からはインターホンが鳴るようなことはなくなり、とうとうセンター試験の日になってしまった。
先生は予告通り地下の駐車場から私を会場まで送り届けてくれた。
私の体調は万全だし、勉強もやるだけのことはやった。
だけど…、あの日から先生の様子がおかしいのが、少しだけ気がかりだったんだ。
毎日疲れて帰ってくるし、小さな溜息が多いし。
絶対、何か隠してるに決まってる。
1日目の試験が終わり、先生に電話をしながら試験会場を出たところで、
いきなり後ろから名前を呼ばれた。
「Aちゃん。」
この声…、どこかで聞いたことがある。
ゆっくりと振り返れば、その声の主は菜乃花さんだった。
「Aちゃんでしょ?
玉森先生の生徒の。」
…何で私の名前を知ってるんだろ。
それに、もう推薦で大学が決まってるはずなのに、何でここにいるわけ?
1171人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わかめ(プロフ) - コメントありがとうございました!返信が二か月も遅くなりまして、大変申し訳ないですー(*'ω'*)これからはコンスタントにそこそこ更新できそうです。どうぞよろしくお願いします(*'ω'*) (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わかめさん» ずっと更新待ってました!!!今から読みます!!! (2018年1月7日 8時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» いつもいつも、更新遅めで申し訳ないです(/ω\)引き続き読んでいただけたらうれしいです(*'ω'*) (2018年1月7日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わああああ〜〜〜ありがとうございます (2018年1月2日 22時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» お待たせいたしました。先程更新いたしました。ご期待に副えるかどうか心配ですがwwwこれからもどうぞよろしくお願いしますm(__)m (2018年1月2日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:わかめ | 作成日時:2017年12月29日 22時