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「あさってまで仕事だから。」

まるで業務連絡のようにそう告げると、先生は部屋の明かりを消してしまう。

さっきから外では雨が降り始めて、その雨音と気圧のせいで私も先生もかなり眠いはず。

だけどこの時間だけが、先生と深い話ができる時間だから、眠いのを我慢して話しかける。

「部屋に着替えとか取りに帰ってもいい?
裕太が仕事に行ってる時に。」

だって今私が着てるのは、先生の服だから。

かなり大きいから袖はぐるぐるに折ってるし、動きにくいし。。

でも着心地は最高なんだ。

先生がいない間でも、まるで先生が傍にいてくれるような気分になれるから。

だけど、ずっと先生の服を着てこの長い冬休みを過ごすのは、勉強の効率的もきっとよくない。









「…だめ。」

だけど先生には、あっさりと却下された。

その声は何の抑揚もないから、少しだけ不安になる。

「俺が冬休みに入ったら、一緒についてってやる。
それまでは、そのままで。」

「1人で行けるよ。
私のこと信用してない?」

「どうだろうね。
てか、Aが俺の服をぶかぶかのまま着てるのが可愛いから、当分はそのままでいて。」

そう言っては、まるで習慣のように私を抱き寄せてくる。

「もういいから、早く寝ろ。」

って、本当に眠そうな声で。

「眠いの?」

「眠いよ。
だから早く寝かせて。」

私だって眠いけど、この寝るまでの貴重な時間を大事にしたいから。

私はまだ話を続ける。









「裕太は帰省しないの?お正月。」

私が話を続けたら、先生は軽くため息をついて、それでも質問に答えてくれる。

「帰らない。
Aがいんのに。」

「別にいいんだよ?
私はその間、ここにいるか自分の家に帰ってるし。」

「それって…、
帰省しないで、って言われてるように聞こえる。」

「何で?
ちゃんと本心で言ってるのに。」

「わかんないけど…、Aはいつも心にもないことを平気で言ったりするから。
疑ってるだけ。
いつもは目を見ればAの本心は読めるけど、今は顔が見えないから、そう思っただけ。」

先生はそんな風に私のことを見てたんだ。

確かに天邪鬼なことを言ったりするけど、この話は本当にそう思ってるのに。









「どっちにしても帰らないから。」

「別に寂しくないのに、私。」

「…俺が寂しいんだって。
今だってAを置いて仕事に行くのが嫌なのに。」

たぶんこれは、先生の本音なんだと思う。

寝る前の先生は、本当に無防備だから。

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わかめ(プロフ) - コメントありがとうございました!返信が二か月も遅くなりまして、大変申し訳ないですー(*'ω'*)これからはコンスタントにそこそこ更新できそうです。どうぞよろしくお願いします(*'ω'*) (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わかめさん» ずっと更新待ってました!!!今から読みます!!! (2018年1月7日 8時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» いつもいつも、更新遅めで申し訳ないです(/ω\)引き続き読んでいただけたらうれしいです(*'ω'*) (2018年1月7日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わああああ〜〜〜ありがとうございます (2018年1月2日 22時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» お待たせいたしました。先程更新いたしました。ご期待に副えるかどうか心配ですがwwwこれからもどうぞよろしくお願いしますm(__)m (2018年1月2日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2017年12月29日 22時

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