GATE １８ →→

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「いいよ、別に。
大学なんかどこでも。
裕太だって、どこの学校に異動になっても一緒だって、さっき言ってたじゃん。」

先生は何か言いたそうにしてたけど、

突然部屋の引き戸がガラリと開けられて、北山さんがひょこっと顔を覗かせた。

「ごめん、ちょっといい？」

って、私達の返事も聞かずに、もう普通にこたつに入ってきちゃってるし。

「どう？優、落ち着いた？」

先生のそんな問いかけに、北山さんは黙って首を振るだけ。









「２人には、ちゃんと話しとかないとね。」

北山さんがこちらに向き直るから、私もきちんと正座し直した。

「男がよく陥る勘違いなんだけどさ。
元カノはいつまでも自分のことを好きでいてくれる、みたいな錯覚？
だから寂しくなった時とか、つい昔の彼女に連絡してしまう、みたいなヤツっているじゃん。」

「…優もそんな感じってわけ？」

「まあね。
だから今でも、玉が自分のこと好きでいてくれてるんじゃないかとか、そんな勘違いをしてるわけ。」

返事の代わりに先生は深いため息をつく。

「優ちゃんにはしっかり説教しといたから。
多分、離婚したばっかで寂しいんだと思うよ。
俺らもだいぶ甘やかしちゃってたしね。
今日は忘年会どころじゃないから、連れて帰るわ。」

「ミツが？」

「そう。
これから送り届けて、またここに帰って来る予定。
玉はどうする？
帰ってもいいし、ここに２人で残ってもいいし。」

そう言い残して北山さんが部屋を出た後、

何故か先生は黙りこくったまま。

今、何を考えてる？

優さんのこと？

それとも、さっきまで話してた異動のこと？









「とりあえず帰る？」

先生が席を立っても、私はこたつから出られないでいた。

立ち上がった先生を、じっと見上げたまま。

「…何？
こたつ、そんなに気に入った？
そんなの買ってやるから、俺の部屋で入っとけばいいじゃん。」

無愛想な口調と正反対に、その言葉の意味は目眩がするほど甘い。

先生は気付いてんのかな。

それって、先生の部屋に居座ってもいいって言ってるのと一緒だよ？








帰りの車の中。

先生はやっぱり言葉少なで、何か考え事をしてるみたいだ。

「今、何考えてるか当てていい？」

唐突にそう切り出せば、先生はようやくこちらを向いてくれた。

「…何？」

「優さんのこと、心配なんでしょ？」

きっと北山さんから優さんの事情を聞いて、内心穏やかではないはず。

なのに先生は、

「違うわ。」

って、笑い飛ばした。

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