検索窓
今日:31 hit、昨日:7 hit、合計:265,791 hit

117 ページ17

「やめた。
Aをこの数ヶ月見てきて、教師の仕事が楽しいって初めて思えるようになったし。
まさか生徒と付き合うことになるとは、思ってもみなかったけど。」

「それって、いつまでに決めなくちゃいけないの?」

「1月末までには。」

「断ったらどうなる?」

「今の学校に残ることになるんじゃない?多分。」

そこからまた、私は無口になる。

先生の真意がわかんなくて、どう出たらいいのかわかんないんだ。

ほんとは、遠くの学校になんか行ってほしくない。

でもそれを言葉にするのがどんなに難しいか。

先生の人生がかかってるようなことを、私が簡単に決められないんだ。









「相変わらず素直じゃないねー、Aは。」

先生は私の隣にするっと入り込んで来ては、狭い場所なのに更に腰に腕を回してくる。

「狭いよ。」

そう文句を言っても、先生は知らんぷり。

「素直になれば?」

「…どういう意味?」

「本当のこと言えばいいんじゃない?
寂しい。
行ってほしくない。
ずっと近くにいてほしい、って。」

「そんなの…。
絶対言わない。」

「何で?」

先生はずるい。

そうやっていつも私のことを追い込んで、何が楽しいわけ?









「Aが止めてくれないから、行っちゃおうかな。
遠くの学校。
なんかここから電車で2時間もかかる所らしいよ。
遠いよねー。
急にAに会いたいって言われても、簡単に行けなくなるわ。」

なんて、まるで他人事みたいに。

「…会いたいなんか言ったことないし。」

だんだん、私の声も勢いがなくなっていく。

本当に先生が遠くに行っちゃったらって、そう思っただけで気持ちがぺしゃんこになっていくんだ。

「じゃあ、行っちゃってもいいわけ?」

「…行きたいんなら行けば?」

「会えなくなってもいいわけ?」

「よくない…、けど。」

「Aが急に熱を出してもすぐに駆け付けられないけど?」

「いいよ…、別に。」

どんどん、私の声は小さくなっていく。

あと何か少しつつかれたら、泣き出してしまいそうなくらい。









「言えよ。
寂しいって。」

「言わない。」

「絶対に?」

「絶対に。」

「じゃあ、俺が寂しいって言ったら?」

「そんなこと思ってないじゃん。」

「思ってるよ。」

「嘘つき。」

「嘘つきはAの方じゃない?」









「…先生なんか大嫌い。」

もう半分泣き声になってるのに、先生は更にからかってくる。

「今日は裕太って呼ばないんだ?」

118→←116



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (393 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1171人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

わかめ(プロフ) - コメントありがとうございました!返信が二か月も遅くなりまして、大変申し訳ないですー(*'ω'*)これからはコンスタントにそこそこ更新できそうです。どうぞよろしくお願いします(*'ω'*) (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わかめさん» ずっと更新待ってました!!!今から読みます!!! (2018年1月7日 8時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» いつもいつも、更新遅めで申し訳ないです(/ω\)引き続き読んでいただけたらうれしいです(*'ω'*) (2018年1月7日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わああああ〜〜〜ありがとうございます (2018年1月2日 22時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» お待たせいたしました。先程更新いたしました。ご期待に副えるかどうか心配ですがwwwこれからもどうぞよろしくお願いしますm(__)m (2018年1月2日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:わかめ | 作成日時:2017年12月29日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。