検索窓
今日:6 hit、昨日:7 hit、合計:265,766 hit

111 ページ11

「冗談…ですよね?」

恐る恐る聞いてみた。

だけど優さんは笑顔で答える。

「うん、冗談。
ほんとに拉致するわけじゃないから。」

…でもこれ、拉致されてるよね?私。

いつの間にか車は高速に乗り、窓の向こうには知らない景色が広がっていた。








「裕太はAちゃんがしっかり勉強してれば、安心して遊べるわけでしょ?
だから、今日泊まる予定の宿に一部屋取っといたから、そこで勉強してくれる?」

…って、それ本気で言ってる?

先生、絶対怒ると思うんだけど。

でも優さんの言う通り、私が別室で勉強してたら、先生は安心して忘年会を楽しめるわけ?

それなら…、拉致されてあげてもいいけど。

なんて考えてしまう私の思考はもう相当、先生中心になって善悪が麻痺しかけている。

ヤバいって。

これ、普通に誘拐みたいなもんだからね。









チラリと運転席に目をやれば、優さんはそれに気づいて、

「サークルの後輩だよ。
いつも車出してくれたり、ご馳走してくれたり、優しい子なの。」

そう紹介してくれたけど。

優しいって、それは優さんにだけだよね?きっと。

多分この人は、優さんのことが好きなんだと思う。

だからこんな風に、優さんの言うことを聞いてしまうんだろう。

多分この人も、優さんのこの行動が間違ってるってことはわかってるはず。

だってさっきから、ミラー越しにさえ目を合わせてもくれない。









1時間ほどで、車は山の中の温泉街に到着した。

旅館にはもうサークルのメンバーらしき人が数人旅館前に集まってて、制服姿の私の登場に驚いてる。

「裕太の生徒のAちゃん。
センター試験も近くて、裕太も心配で忘年会に来れないみたいだったから連れてきちゃった。」

優さんがそう紹介しても、みんな困り顔で顔を見合わせてるだけ。









「え?Aちゃん?
何でここにいるの?」

旅館の奥から出てきた北山さんを見て、急に泣きそうになった。

ようやく知ってる顔に会えたって。

強がって平気なふりしてたけど、本当は怖くて仕方なかったんだ。

知らない場所に知らない人達、そして、これからここに軟禁されちゃうんだと思ったら。

「優ちゃんが連れてきたわけ?
玉は知ってんの?」

「これから裕太に電話するから。
ちょっと待ってて。」

優さんはいきなり電話をかけ始めるけど。

でもその電話は繋がることはなくて、代わりに私のポケットの中のスマホが鳴り始めた。

112→←110



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (393 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1171人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

わかめ(プロフ) - コメントありがとうございました!返信が二か月も遅くなりまして、大変申し訳ないですー(*'ω'*)これからはコンスタントにそこそこ更新できそうです。どうぞよろしくお願いします(*'ω'*) (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わかめさん» ずっと更新待ってました!!!今から読みます!!! (2018年1月7日 8時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» いつもいつも、更新遅めで申し訳ないです(/ω\)引き続き読んでいただけたらうれしいです(*'ω'*) (2018年1月7日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わああああ〜〜〜ありがとうございます (2018年1月2日 22時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» お待たせいたしました。先程更新いたしました。ご期待に副えるかどうか心配ですがwwwこれからもどうぞよろしくお願いしますm(__)m (2018年1月2日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:わかめ | 作成日時:2017年12月29日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。