17 ページ17
二階堂くんは私の言葉が理解できないのか、しばらく黙り込んでたけど、
そのあと、絞り出すように低い声で尋ねてきた。
「…俺、Aに何かした？」
「何もしてない。
これは、私の問題だから。」
「何？Aの問題って。」
心配そうに、私の顔を覗き込んでくるその行為も、今の私には辛くて、
つい、顔を思いっきり背けてしまった。
それでも強引に顔を覗き込んでくる二階堂くんは、明らかに私の言葉に傷ついてるって顔をしてるのに、
「A、何かあった？」
ってまだ、私のことを心配してくるのが申し訳なさ過ぎて、それ以上はうまく話せなかった。
「とにかく、二階堂くんは何も悪くないから。
悪いのは私なんだ。」
早口でそう言い切って、強引にマンションの中に入った。
今夜はエレベーターじゃなくて、階段を使って。
振り返るのが怖くて、一気に駆け上がった。
部屋に入ったら、まるで体中に重りを付けられているかのように体が重くなって、玄関先でうずくまってしまった。
ごめんね、二階堂くん。
二階堂くんは何も悪くないのに。
私が勝手に二階堂くんを好きになって、それに耐えられなくなっただけ。
私がもう少し強かったら、二階堂くんに悟られないように、親友のふりを演じ切ることが出来たのに。
だけど翌日も、バイトが終わって外に出たら、二階堂くんは律儀に待ってくれていた。
大学では、なるべく二階堂くんに会わないようにしてたのに。
昨日あんなことがあったのに、二階堂くんは変わらない笑顔を見せてくれる。
「A、お疲れ。」
そう言われて、
「二階堂くんもお疲れ様。」
とか返してみるけど、並んで歩いてるだけで胸が苦しくなる。
しばらく無言だったくせに、マンションの近くまで来た時にようやく、
「もう、Aの部屋に行きたがったりしないから。
だから、昨日はごめん。」
って、何故か謝ってくる。
だけど不器用な私は、
「別に…、二階堂くんは悪くないんだから、謝らないでいいよ。」
とか、可愛くないことを言ってしまう。
「A、今日このあと、時間ある？」
「…何で？」
「話がしたいから、Aと。」
「私は別に話すことなんかないよ。」
「嘘つき。
なんかあったんだろ？
あの子に何か言われたとか？」
「翠ちゃんは何も言われてないよ。」
なのに二階堂くんは強引に私の手を引いた。
「これから、俺の部屋に来ない？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 984人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わかめ(プロフ) - にかはるかさん» そろそろ話もいい感じに入ってきました(/ω＼)今日も更新しましたので、是非、読んでいただければ幸いです(*'ω'*) (2018年4月18日 22時) (
レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
にかはるか(プロフ) - 主人公ちゃん頑張ったー！にかちゃんどうするんだろ？ラブラブになれるかなー？！ドキドキがとまりません！！ (2018年4月17日 4時) (レス) id: 3dfef49e61 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - チョコブラックさん» コメントありがとうございますm(_ _)mどちらも読んでいただけて幸せですー(*´∀`)♪ (2018年4月9日 23時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
チョコブラック(プロフ) - タマちゃんの方も読んだけどどっちも面白いし、読みやすい！ (2018年4月8日 10時) (レス) id: e5c704bd79 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わかめ
| 作成日時：2018年3月21日 4時
