家に、北山ってやつが住み着きました。2

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北山side





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宮田が紹介してくれた俺の初恋の人



やっぱ、覚えてないよね








……初めてちゃんと見たけど、大人になった藤ヶ谷は、あの時よりも少し背も伸びていて、少し焼けた肌に、パーマのかかった黒い髪は色気さえ感じさせる




かっこいい……






藤｢藤ヶ谷、太輔って言います｣




『へ？あ、あぁ北山です。北山宏光』





つい、見とれてしまって、なんだか急に恥ずかしくなった




でも、俺今、藤ヶ谷と話してんだ




夢みたいな出来事に頭がついていかないみたいで、何を話せばいいのかも…よく分からなくなってしまった





それでも、宮田が話繋いでくれて、少し話してたら、たまが戻ってきて





藤ヶ谷は、もう帰るって病室を出ていこうとした







待って……







もしかしたら、もう会えないのかもしれないって



藤ヶ谷の背中から感じて





『また、来てくれますかっ』





咄嗟に声を出していた









玉｢もう、今日は休みな？疲れたでしょ｣




『……うん』







なんだろう、このモヤモヤする感じ







玉｢みつ？｣




『……手、握ってよ』




宮｢お、俺ちょっと飲みもの買いに行こうかなっ｣







わざとらしい宮田の嘘にも、今は突っ込みたくない







たまが、俺の手、握ってくれて



ポンポンってお腹を優しくたたいてくれる







玉｢どうした……｣






自分でも、よく分からない




どうして今、俺は泣いているんだろう



何が悲しくて泣いているんだろう







『たまがあんまり優しいからさ……』




玉｢俺は好きな人には優しくしたいの｣







たまの言葉はいつも真っ直ぐで、良くそんな照れくさいことを言えるなって思ったりするけど



嘘一つない言葉は、清々しくて気持ちがいいし






俺も素直に、嬉しくなる







『おやすみ…たま』




玉｢おやすみ、みつ｣







たまの言葉は、俺の不安を消して安心へ変えてくれる




何も考えなくていい、俺に優しくされてろって言ってるみたいに、俺を包み込んでくれる






玉｢好きだよ、みつ｣







だからね


たま、俺も……



俺もね………








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