家に、北山ってやつが住み着きました。

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藤ヶ谷side





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｢ん……｣




『藤ヶ谷起きた？』







ぼーっとする頭に、北山の特徴のある声が響く




俺、いつの間にベッドで寝てたんだろ







『朝ごはん、作ってみた』





昨日の残りのお味噌に、少し歪な卵焼き






｢いただきます｣




『卵焼き、初めて作ったんだ』




そう言って

俺の前の椅子に座っては、俺の反応を伺ってる





｢うん、しょっぱい｣




『あれ？笑』






うそ〜って、北山も卵焼きを1口口にする





『……ほんとだ』







今度は申し訳なさそうな顔して




『無理しないでいいからな……』






俺が全部食べるからって、





『いいや、食べる。北山が頑張って作ってくれたから』





笑いかければ、北山はほんのり顔を赤らめて嬉しそうに笑うんだ







ころころ変わる表情が、なんだか面白くて


可笑しくて






『なんで笑うんだよ笑』




｢ふふ、別に笑｣






｢そーだ北山、今日どこか出かけるか？せっかくの休みだし｣






俺の言葉にキラキラと目を輝かせた北山だったけど、すぐに悲しそうな顔してごめんと一言呟いた





｢どうして？｣






理由を聞くと、北山はまた『出られないから…』って、嘘をつく






｢……なんなのそれ｣







何も言わず黙って俯く北山に、俺は腹が立って仕方がなかった






｢……あぁそう、行きたくないなら行きたくないってはっきりそう言えばいいのに｣




『……ちがっ』




｢もういいよ、もう誘わねーから｣






冷たく言い放った言葉に北山の目が潤んでるのが視界に入ったのに



ごめん、言い過ぎた


そう謝ればいいのに、素直になれない俺は、北山を傷つけた






ただ……悔しかっただけ




また、あんな嘘をつかれたことに








……北山の言葉が、期待をしてしまった俺を嘲笑ってるみたいに思えて



悲しくて






腹が立ったんだ






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