家に、北山ってやつが住み着きました。

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北山side





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唇に触れると、まだ熱さが残ってるみたい




『……///』






和食……か




何なら作れるかなって、折角弾んだ心を、いとも簡単に砕いていくよね






『……また』





透けたり、元に戻ったり



もう、時間がないってこと？






『……俺、死ぬのかな』





それとももう、死んでたりして






『……』






今日は、和食を作らないと行けないのに




包丁が握れないや


冷蔵庫も開けない







掃除だって、洗濯だってしないとなのに







『……んはは』




『藤ヶ谷帰ってきたら、怒っちゃうよ』






和食って言ったのに、なんて、俺の事嫌いになるかも




いっそ……嫌いになってくれればいいのに







『俺もうすぐ消えちゃうよ』




『藤ヶ谷の前から、いなくなるんだよ』







透けてる自分の手を見つめた




『藤ヶ谷に……触れることも、出来なくなっていくのかな』






こんなに辛いなら、


会いたくなんてなかった





会いたくなかった……藤ヶ谷になんか







『会いたく……っ』





｢みっちゃんは正直ものだからね｣







あぁ……そうかもしれない



自分に嘘をつくなんて、俺には出来そうにないや






『ずっと会いたかった』




『藤ヶ谷に会えて、嬉しかった…』






……あの場所に行きたいな



藤ヶ谷に初めて会った場所






『……』




次第に色を取り戻していく手で、ドアを開けた





初めてここに来た時、何か見えないバリケードみたいなものがあるのか、出られなくなってた玄関






『あれ……』




外に出れる、なんで……






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