家に、北山ってやつが住み着きました。

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藤ヶ谷side





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『も〜勝手に貰うよコーヒー』




｢いや、｣







さっき淹れて余ってたコーヒーを見つけたマグカップに注いでる北山ってやつ








｢いや、待て｣





『んー？』





｢居候なんて、駄目に決まってる｣







今日初めて会ったやつと、一緒に住むなんて普通に考えて無理に決まってる







『昨日はいいよって言ってくれたのに…』





｢それは…！酔ってたからで、俺は覚えてないし｣






リビングに立つ男をちらりと見ると



俯いて、落ち込んでるみたい






｢ごめんな…本当、覚えてないんだ｣





『……』







例え酔ってたとしても、



俺は居候に1度OKを出した、それを断るのは、なんだか悪いことをしているみたいだ…






けど、そもそもどうして居候だなんて




住む所がないのか、家出？いや、社会人だし、それはないか








『俺……ここから、出られない』





｢……は？｣








北山ってやつから発せられた言葉は俺の予想を遥かに超えてた上に意味不明で



もしかしたらこいつ、危ないやつかもしれないと頭の中で警戒音みたいなのが鳴った







『俺もお前に迷惑かけたくないんだけど……』





｢……な、何言ってんだ｣







何か、身を守れるものっと、咄嗟に椅子に置いてあったクッションを構えると







『……ごめんな』






北山ってやつは、申し訳なさそうに謝ってきた






｢いや……｣








その表情が、あまりに儚げで、壊れてしまいそうに思えて



どうしてか分からないけど、胸の奥の方がギューッと苦しくなった








｢……いいよ｣






今日の俺は、どこか可笑しいのかもしれない



きっと、昨日のお酒がまだ残ってるんだろう






どうしてそんな下手な嘘をつくのか、分からないけど、きっと事情があるんだろう




こんな、捨てられた子犬みたいな顔されて



放って置けるわけない








『……いいのか？』





｢……あぁ、いいよ｣









ありがとう、そう笑う北山ってやつを



かわいいと思ってしまったのもきっと酔いのせい







｢俺、仕事行くけど……えと、北山、さんは？』





『ん？北山でいいのに。』





｢き、きた、やま｣







名前を呼ぶだけなのに、どうしてこんなに緊張する、






『んー、さっきも言ったけど、俺はここから出られないから』








前言撤回、やっぱりこいつ危ない







『大丈夫だって笑クッション構えんな笑』







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