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「学生時代の恋愛って忘れらんないよねーー」
いつだかの合コンでもう名前も思い出せないけど、隣に座っていた女の子が言っていた気がする
高校の3年間、16歳から18歳の不安定で、でも人生において思い出深い一瞬であろう3年間を一緒に過ごした人に、他の元恋人よりも重きを置くのは自然なことではないだろうか
誰々先生のテストがやばいとか、誰々くんが告白したらしいよとか、行事でいつもと違う姿が見れたり、
門限、少ないお金、微妙な線引き、色々なものに縛られながらきっとあの頃にしかできなかった恋愛を捨てきれない人は少なくない
三ツ谷くんは、多分、その典型的な例で。
私はただその思い出の"対象"なだけで。
しばらくそんなことをぼーっと考えていると
「さあさあ始まりました!!夏休み一大イベント!サークル旅行!!」と元気な幹事の男の子の声で一気に引き戻される
「お前がこういうの来るの珍しいな」と隣に立つマイキーくんに肘でつつかれてマイキーくんも去年来てなかったじゃん、と言い返す
「なんで来たの」
別にすごく乗り気だったわけじゃないし、こういう集まりが好きかと言われたらそうでもないのだけれど
「新しい出会い、あるかもなーみたいな?」
「そんなに彼氏欲しいのかよ」
三ツ谷くんから逃げたいだけ。そんな我が身可愛さで誰かと付き合っても意味が無いのは分かっている
でも、結局私なんて、そんなもんだとも思う
恋をしようとしてする恋愛と、いつの間にか恋に落ちてた恋愛は全然違う。これから私がしようとしてるのは間違いなく前者で。
年齢を重ねて、経験を重ねて、環境が変わって。
ただ純粋に好きって気持ちだけで恋愛することなんて、もう出来ないのかもしれない
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作者名:Anju | 作成日時:2022年8月13日 17時