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振り向けば三ツ谷くんの顔がすぐ側にあって。
様子を察したその男の人はすみませんでした、とすぐに去っていってしまった
「なんで、いるの」
「そうじゃなくて、何考えてんの?つってんの」
「別に、三ツ谷くんに関係ない、じゃん、、」
段々声が小さくなるをみて三ツ谷くんはため息をついた後
私の腕を掴んで歩き始めた
その力が少し強くて。
周りの人目もあって強くは抵抗できずに離してくれる気配もない三ツ谷くんに引っ張られて、どこに行くのかもわからず歩いていく
気づけば、駅から少し離れたところのビルの一室にいた
ダンボールが積まれていて、ビニールに包まれた服が何枚かダンボールの外にはみ出していた
おそらく三ツ谷くんのブランドの事務所だろう
椅子に座らされて、足元にしゃがんだ三ツ谷くんが私の顔を見上げている
三ツ谷くんの真剣な顔が端に映って、余計に三ツ谷くんの顔が見れない
「、、ごめん、痛かったよね」
「うん、でも大丈夫」
「何?あれナンパ?」
「多分、そう」
腕を掴んでいた三ツ谷くんの手が、今度はするりと私の手を握る
「何かあったらどうするつもりだったの」
その握ってくれている手が、口調が優しくてなぜだか涙がでそうになって、泣くなと自分に言い聞かせる
「別に、カフェ行くだけだったし」
「そんなの口先だけだって、何あるかわからないし連れ込まれたりしたらどうすんの」
「そんなことないって」
「さっきだって俺の手振り払えなかったでしょ」
確かにそうだけど、そうだけど。
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作者名:Anju | 作成日時:2022年8月13日 17時