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「こうやって、肉を噛み千切って、口に含んで、噛んで、飲みこんで…ボクの体の一部にしてしまえば、もう離れられないよね」
「……お前、凄く美味しいんだろうなあ…」
「手を舐めてるだけで、よく分かるよ」
「…ああ、でも、」
もう片方の手で、お前の右目の目尻を撫でる。
「お前の目とボクの目を片方ずつ入れ替えたり、腕も一回切り落としてボクとお前の腕を繋ぎ替えてみたり」
「互いの体の一部を交換して、自身の体にしてしまうのもいいかもね」
「そうすれば、ボクはお前の一部になれるし、お前はボクの一部になれる」
「永遠に、ボクとお前は、離れられなくなるんだよ」
「死んだって、ずうっと一緒…♡」
想像するだけでゾクゾクして、たまらなくなる。
「……………最っっ高じゃない…?」
「…ふふ、ふふふふ…はは、あははっあははははははっははっはははっ」
「…っ…はぁ……」
「………なんてね」
「……そんなに怯えた表情しないでよ」
「すごーく、可愛いけどね」
目尻を撫でていた手を少しずらし、指で彼女の頬に触れる。
「大丈夫だよ」
「“い、ま、は”そんなことしないから」
一度頬から手を離し、親指の爪を噛む。
乱暴に歯で爪数ミリを噛み千切ると、先端部分がギザギザになった。
頬にその爪を立てて、皮膚を傷つけるように何度も同じ場所に線を引く。
徐々に赤くなっていく頬。
お前はまた、真っ直ぐに純粋な目でボクを見ているけれど、その瞳の奥には先ほどとは違う何かが混じっている。
何かを探るような、疑うような、そんな目だ。
「お前がボクの傍を永遠に、死んでも離れないってことをボクに分からせてくれれば大丈夫だよ」
「……きっとね」
プツ、と彼女の頬の皮膚が切れた。
小さく血が滲む。
垂れる前にと、そこにキスを落とした。
じんわりと鉄の味が、彼女の甘い味が口の中に広がって行く。
口に広がるこの味が、Aのものだと思うと
今自分の体内に、Aのほんの一部分でも入り込んだと思うと、凄く、興奮した。
「だから、そんな顔しないで」
「笑ってよ、ボクの大好きな笑顔で」
「ボクだけの、その、笑顔で」
「……ふふ、そんなに怖い?」
「でも…これはボクの愛情表現だから」
「…お前なら、受け止めてくれるよね?」
にっこり笑みを見せる。
(ボクの欲望が我慢できなくなる、その日まで)
「ボクの隣にいてね」
(いつかきっと、完全にボクのものになってくれると)
「…お前のこと、信じてるから」
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林檎麻(プロフ) - お久しぶりです...!!リクエスト受け取ってくれてありがとうございます..!!とっても満足しました!! (2017年11月7日 23時) (レス) id: 5f64ee0b75 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - ミユティさん» こちらこそありがとうございました!これからも彼に振り回されてやってください(笑 (2017年11月6日 22時) (レス) id: ccdc96260d (このIDを非表示/違反報告)
ミユティ(プロフ) - 久々の小見川くん、とても良かったです!!!!!良く考えたら小見川君のリクエストはこれで二回目ですね笑リクエストに答えて下さり本当にありがとうございます! (2017年11月6日 21時) (レス) id: ffac928163 (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 不雲綺さん» そうだったんですか、全然大丈夫です!これからも更新頑張ってくださいね (2017年11月3日 22時) (レス) id: fd489c71d0 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - ももかさん» 申し訳ありません。この作品は今リクエストいただいてるものを書き終えたら更新を一時停止する予定でして…リクエストは受け付けておりません。説明文にリクエスト中止と表記しておらず、申し訳ありませんでした。 (2017年11月2日 18時) (レス) id: d72d593e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:不雲綺 | 作成日時:2017年8月29日 17時