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彼女の細い腕を掴み、さっきの女が強く握っていた場所をさする。
汚れた。
その言葉が俺の口から零れると、一層そんな気がしてならなかった。


「……早く…」
「…早急にさっきの人間の対処をしなければ」
「…まずは脅して、それで足りないのなら暴力をふるい、それでも、それでもまだ足りないのなら」
「………殺すことも考えなきゃ…」
「そうでなきゃ、また邪魔をされてしまう」

(彼女が俺に溺れていく邪魔を)
(俺と彼女の間の邪魔を)
(…そんなこと、あってはならない)


地を這うようにぽつりぽつり低く声を漏らしていくと、あなたが怯えたように表情を硬め、言葉を聞き返す。


「ええ、さっきの女をですよ」
「俺の居場所を奪い、あなたを汚し、あなたを俺から引き離し、“俺の計画を邪魔した”あの女を、です」


にこり、微笑む。
俺の口から出た言葉を本気だと感じ取ってくれたのか、あなたは息をのんだ。


「A先輩?」
「どうしてそんな顔するんです?」


先輩に近づき、壁に手をつく。
壁と俺に挟まれたあなたは、怯えた顔で俺を見上げた。


「あなたには俺がいるんだから、他の人に頼る必要なんてない」
「だから、他の人がいなくなろうとあなたには何の関係もない」

「………あなたの言うことを聞いて、思っていることを理解して、願いを叶えてあげられるのは、俺だけなんですよ?」

「…あなたは、あなた自身を頼ることさえしないでいい」
「大丈夫です、A先輩」
「俺が、ちゃーんと責任をもって、あなたのために生きてあげます」

(ほら、口を開けて)
(もっともっともっと、溺れるための甘味を与えてあげる)
(それは、麻酔のように、薬が効いていくように、毒が回っていくように)
(あなたの心を支配していくんだ)

「今のあなたは俺を突き放すことはできませんよ」
「……きっと、今のあなたに俺という存在は必要不可欠」


今まで与えてきた甘味は、あなたの中に浸みこんでいる。
そして今言ったように、その甘味はあなたにとって必要なものとなり、体内に、心の中に佇んでいるに違いない。


「今更、俺のいない生活なんて出来ないに決まっています」


(さあ、俺の与えた物を、飲みこんで)

甘えたがり×彼氏×依存=→←〃



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林檎麻(プロフ) - お久しぶりです...!!リクエスト受け取ってくれてありがとうございます..!!とっても満足しました!! (2017年11月7日 23時) (レス) id: 5f64ee0b75 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - ミユティさん» こちらこそありがとうございました!これからも彼に振り回されてやってください(笑 (2017年11月6日 22時) (レス) id: ccdc96260d (このIDを非表示/違反報告)
ミユティ(プロフ) - 久々の小見川くん、とても良かったです!!!!!良く考えたら小見川君のリクエストはこれで二回目ですね笑リクエストに答えて下さり本当にありがとうございます! (2017年11月6日 21時) (レス) id: ffac928163 (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 不雲綺さん» そうだったんですか、全然大丈夫です!これからも更新頑張ってくださいね (2017年11月3日 22時) (レス) id: fd489c71d0 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - ももかさん» 申し訳ありません。この作品は今リクエストいただいてるものを書き終えたら更新を一時停止する予定でして…リクエストは受け付けておりません。説明文にリクエスト中止と表記しておらず、申し訳ありませんでした。 (2017年11月2日 18時) (レス) id: d72d593e93 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:不雲綺 | 作成日時:2017年8月29日 17時

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