２ ： ○○ × ヤンデレ ＝

ツンデレ×幼馴染×調教＝ ページ16

： タケル ：



白い紙に線を書く。
そうして模様を作り、好きなように色を付けていく。
それと同じことを、お前にしたい。
お前の純粋で真っ白な心に、オレ好みの線を描いて
出来た模様にオレ好みの色を付けていく。
他の色に邪魔されずに、オレだけの色に染まるお前は…きっと

今より、ずっと可愛いんだろうな。

オレはずっと、そうやってお前を求めている。

色をのせた筆を、キャンバスの上に滑らせる。
頭で思い浮かべていた色が、思ったように白の上に広がっていった。
放課後の美術室には、微かに絵の具の匂いがしている。


「…」
「…何、見てんだよ」


緊張が混じりこんだ空気の中、オレの隣に座る彼女にそう言葉を投げた。
筆を止め、視線をそちらに向ける。
不意に声をかけられたお前は、え、と驚いた声を出した。
筆を握る手は、なんだかいつもより汗ばんでいるように感じる。


「…あんまじっと見るなよな」
「…そんな熱心に見られると緊張すんだよ」
「…それに、」
「お前、たまに…その、」


絵じゃなくて、オレを見てるだろ。
それは否定されたら死ぬほど恥ずかしいので、彼女に伝わることはなかった。


「………」
「………そ、そんなに、オレの絵、見るの好きか」


ぽつり、控えめに問うと、お前は何の迷いもなく頷く。
そして、色合いが綺麗だとか、世界観が素敵だとか、真っ直ぐな言葉で褒めはじめた。


「別に上手だとか言われるほどじゃねえって…」
「…昔から描いてるやつと、そうでないやつに差があるのは当たり前だろ」
「………お前に褒められるのは、嫌じゃないけど……」


続きの言葉が出るより先に、楽しそうに笑うお前が視界に映る。


「…っ」


茜色に染まっていく美術室に、オレとお前が二人きり。


(…ああ、やっぱり)


変わらない。

オレだけを見てくれるお前は、こんなにも綺麗で、可愛くて、愛おしく思える。
この感覚は昔からだ。
昔からオレの隣で笑うお前は、誰といる時よりも、どんな時よりも可愛くてたまらない。


「…」


それと同時に

その瞬間が永遠でないことに、虚無感や苛立ち、切なさ…いろんな感情を抱くところも、変わっていない。
オレの理想であるお前は、その一瞬でしかこの場に在ってくれない。
それ以外の時のお前は、邪魔な色を沢山持っていて、

オレだけの色に、染まっていてくれない。


「あ…いや…」

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