【Fate/Promise】 (ページ10)

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Saber and Archer ページ10

少女が戦慄するのとアーチャーが姿を現すのは同じだった。アーチャーの得物が少女を裂こうとした時。

「大丈夫かい？アナ。」

柔らかい羽毛の様な声。金髪に翡翠の目をした騎士が少女の目の前ギリギリでアーチャーの短剣を防いでいた。

「えぇ、ごめんなさいセイバー…少し早まったみたい。」

「なに、少女の護衛は騎士の役目だ。」

アーチャーの短剣を払い、突っ込んでいく。セイバーを引き当てるとは。この少女、つくづく運がいいのか悪いのか分からない。

「アーチャー！距離を取れ、白兵戦を避けろ！」

「了解した」

家を飛び出して物凄い速さで屋根の上へ立ち、弓を構えた。セイバーへの標的、真に正確。射った。
セイバーは矢を受け止めようと剣で凌ぐ。

「やぁぁあ！」

セイバーは一喝入れて矢を跳ね除け、これまた光の速さでアーチャーに接近する。

『マスター。残念ながらやむなく白兵戦になるが、いいか？』

『セイバーをぶっ倒せるならさっさと殺ってしまえ。』

アーチャーは後方へ飛んでいた脚を踏み込み、前方へと飛躍した。面食らったセイバーは目と鼻の先にいるアーチャーの攻撃を脇腹に受けた。

「ぐっ……！」

「私のマスターは容赦が無くてね。残念だがここで死んでもらおう。」

チキ……セイバーの肩に得物を置いた時、ニヤリとセイバーは笑う。
その瞬間、脇腹に激痛が走る。見ると、セイバーの剣が脇腹を貫いていた。
ツーッとアーチャーの口から血が垂れ流れる。

「情け深いのもいいけどね…戦場では常に無情でなければいけない。君は隙を見せすぎだよ、アーチャー。」

地面に倒れ込む弓兵を横目に、悲しそうに翡翠の目を伏せて、自分の主のもとへと戻った。

「アーチャー？アーチャー！」

何度呼びかけても応答しない。そして敵のサーヴァントが戻ってきた時、少年は自分のサーヴァントが負けたのだと知った。
だが、令呪はまだ消えていない。死んではいない。意外と情け深いサーヴァントだ。このセイバーは。

「どうする？私に殺されたいのか、自分で自害するか。」

「ハッ。俺はまだ、この世界でやり残した事が山ほどあるんでね。まだまだ死ねない、なッ！」

床に手をつく。最後の賭けだ。これで彼女の魔力が自分より上回れば逃げられて自滅するだけだ。

「空間から三叉路へ。三叉路から根本へ。深く広がり、侵入者を排除せよ！」

床が黒魔術で暗く染まる。少女の叫び、騎士の守り、床に手をつける少年。

黒魔術の根は少女の脚を捕らえた。