Girl ページ9
昨日見た風景とは違って、剣が地面に突き刺さっている、どこか物悲しい雰囲気の場所だった。
その風景の山なりになっている場所で、彼はこちらを振り向いて弓を構え、
「……不要だ。」
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若葉色の目が不機嫌に瞬く。眉をひそめた。ハーッ…と盛大なため息を吐く。誰が望んであんな夢を見るのか。心なしか顔が熱い。心臓が早く動く。少なからずあの夢に恐怖心があるらしい。
弓兵が淹れた紅茶を飲んで一息つき、次に弓兵の顔を見た。あの後、自分は射貫かれたのだろうか。どちらにせよ、物騒ことこの上ない。
「バカが……」
「サーヴァントに向かって馬鹿などと、マスターの風上にもおけんな。」
「お前が変な夢見させるからだ。」
「何かしたかね?」
コイツ自身にはぱったりと記憶にないらしい。マスターとサーヴァントは夢を共有できると聞いたことがあるが、本当なのか。
ピンポン…軽やかなチャイム音が家全体に響き渡る。一応霊体化しておけ、と弓兵に警告した。
はーい、とドアを開けると、昨日の金髪の三つ編み少女が姿勢よく立っていた。
「こんにちは。私、アルラーナと言います。折り入ってこちらの屋敷の当主とお話をしたいと思い、訪問した次第でございます。」
「あー、当主なら私です。どうぞお入りください。」
金髪の膝までの三つ編みを両サイドで揺らしながら
彼女は応接室にやって来た。
「それで、話というのは?」
「ええ、実は…」
影を落として彼女が声色を落とす。ただ事ではないようだ。じっと待っていると、彼女の口元が持ち上がった。
その刹那、黒鍵を指の間から覗かせ、ノアードの首元に置いた。
少年は身じろぎしない。こんな修羅場は結構慣れている。
「君は、チェルニゴフ家の当主だな?」
「よく分かったわね。えぇ。私はアルラーナ・チェルニゴフ。錬金術を取り扱う、最後の一人。」
「それで?俺を殺してどうしようと言うんだ」
「決まっているでしょ。あなたのサーヴァントが存命出来なくするためよ。聖杯戦争では当たり前ではなくて?」
「それもそうだな…では」
黒鍵を全て掴んで魔力を手のひらに集中させる。メラメラと黒鍵が燃えていった。手から血が滴る。
「フン…。私はお話してあなたのサーヴァント死んでちょうだい、なんて言える主義じゃないのよ。」
「好戦的なところは尊重するが、自分の身の危険を考えた方がいいんじゃないか?」
何せここは自分の家。この少女を殺すなど容易いのだ
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作者名:白咲 アオン | 作成日時:2017年12月11日 20時