Epilogue ページ39
「ノアー?早く起きて!もう10時!」
「んぁ〜……」
あの聖杯戦争から二年。俺達は十九歳となった。クロエとミヒューズは十二歳になった。
クロエは時々家に来て、菓子を持ってきたり、学校の宿題を手伝ってくれと訪問してくる。
「こんな朝っぱらからなんだよ……」
「あの聖杯戦争から丁度二年よ?ちょっとはセイバー達にも感謝しないと!」
「あー、ハイハイ。」
セイバーはアルラーナと暮らしていた時はかなり食事を楽しんでいたらしく、アルラーナもセイバーが食べているところを見るのが好きだったんだとか。
「アーチャーは…何が好きだったっけ…」
そういえば、彼の好物は知らなかった。そもそも、弓兵が何か口にしているところは見なかった気がする。
唯一作れるものでも作ってやるか。
「ノア?どうしたの?」
「アイツのために、パンケーキ作ってやろうと思って。」
「私も作る!セイバー、甘いものも好きだったから。」
パンケーキを作りながら淡々と思い起こす。
アイツは、正義の味方とやらにまだなりたいと思っているのだろうか。彼が望むならなればいいけれど、未だに賛成は出来ない。自由の無いものは生き物ではない。ただのロボットだ。
あれだけ辛い思いをするなら、ならなければいいというのに。いわゆるお人好しというやつなのだろうか。
時々、あの頃の夢を見る。剣が幾つも突き刺さっている心象風景。でも、あの頃みたいにハッキリとはしておらず、弓兵の姿も朧気だ。だけど、あの時とは違う言葉を言っている気がした。
言いたいことがあるなら、行く前に言えば良かったのに、と思ったが、そういえば自分の方から意識が途切れたんだったかと考えると、そりゃ言えなかったのも仕方ないかなんて流してしまう。
サーヴァントとパスも断ったというのに、こうまでして夢を見るのは、きっと自分の記憶が忘れまいとしているからだろう。アルラーナとの約束みたいにならないように。
彼は一体、夢の中で何を言いたがっているんだろうか。困るなぁ。普通の夢が見たいのに。
あっ、と思い出し、パンケーキを焼いているアルラーナに問う。
「お前さ、今死にたいって思う?」
「思わないけど…ノアと死ねるならそれもいいかもね。」
柔らかい金髪の長髪をポニーテールにして青を基調としたワンピースを纏った彼女は二年前よりも少し大人びて見える。淡い青色の目は輝いている。
「そうだな…お前と死ねるなら、それはそれで。」
今日は快晴で。
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作者名:白咲 アオン | 作成日時:2017年12月11日 20時