King Arthur ページ37
地を割くような力の重さ。聖剣から繰り出されたエネルギーは、ランサーを包む。ランサーは、抵抗する気も失せたのか、苦笑いしながら消えていった。
そして、コロニナンカ城を破壊した。
弓兵に運ばれる。少年は弓兵の腕の中で藻掻く。
「アルラーナ!アルラーナが!」
「心配ない。彼女は無事だ」
「なんでそう言いきれるんだよ!」
「向こう側を見ろ、マスター。」
ため息混じりに言われ、若干ムッとしながら弓兵が目を寄越した方角を見る。
すると、消えかけているセイバーがアルラーナを抱えながら地面へ着地していた。
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「ごめんなさい、無理して宝具を撃たせてしまって。」
「いや、いいんだ……こうやって終われるなら、本望だよ。」
「セイバーは…私がマスターで、良かった?」
「あぁ。僕は本当にマスター運が良い。君も、前回の聖杯戦争の少女も。」
「ふふ。その子、苦労したでしょうね。あなたの天然っぷりに。」
「別れ際にその言葉はないだろう!?」
「もう、笑わせないでちょうだい…ソフィアに突き飛ばされた時に、右肩やっちゃったんだから」
「それじゃあ、これが最後の君に対してやれる事だ。」
騎士はアルラーナの肩に手を置くと、傷を治し始めた。みるみるうちに傷が癒え、動かしても痛くなくなった。
「すごい……医療魔法が使えたのね」
「なに、微弱だよ…」
今にも消えそうだというのに、セイバーは汗を流しながらもアルラーナに微笑みかける。
「もう無理しなくていいわ。本当にありがとう…アーサー。」
「こちらこそ。小さなレディ、アルラーナ。君と会えて……嬉しかった。」
光と共に消滅する。最期まで、金髪の騎士は笑みを絶やさなかった。
それが、羨ましくもあり、悲しくもあった。
「レディって言うんなら、手にキスくらいしなさいよ。バカ。」
ふと、赤髪の少年が走り寄ってくるのが見えて、クスリと笑う。彼は兄なんだっけか。実感が湧かない。
だが、背後に何か人影が見える。その正体に気付くと、アルラーナは叫んだ。
「こっちに来ないで!!止まって後ろを見なさい!!」
は?という風に後ろを向いた少年の身体がガクンと折れる。弓兵が抱き抱える。
「往生際が悪いわよ、ソフィア。」
「ここで彼を殺せるなら……私は死んでも良いもの…」
少年に駆け寄る。意識はあるようだが苦しそうだ。
「ちょっと!ここでくたばるなんて、冗談じゃないわよ!?」
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作者名:白咲 アオン | 作成日時:2017年12月11日 20時