【Fate/Promise】 (ページ27)

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Peace of mind ページ27

砂埃が舞う。そこは小さな心象風景。もう見ることはないだろうと思っていたモノに対して、少し呆れる。何がそんなに気に食わないんだ。もう解決した筈だ。他に不満なモノがあるというのか。

丘の男は振り返り、苦笑する。なぁ、何がお前をそんなに苦しめる？何がお前をそこまで追い詰める？男は口を開く。

「オレは、正義の味方になりたかったんだ。」と。

否定はしないが、理解に苦しむ。人間が人のために動くのは自分に利益があるときだけだ。正義の味方というのは自身の自由を犠牲にして、相手の益になるような事をするものだ。それはただのロボットにすぎない。彼はそれを分かった上で、だから、と呟く。

「少し、疲れてしまった。正義という概念を疑ったんだ。一番疑ってはいけない者が、正義を否定しかけてしまった。」

地面に刺さった剣は、罪の数だ。罪を一つ、また一つと突き刺していく。もはや一種の拷問のようなものだった。彼は正義の味方が人類のエゴだと知っていながら拷問に耐え続けた。

「自分でなりたいと思ったものを、こんなに後悔するのは生まれて初めてだった。たった一人の人間の欲望が、ここまで愚かで、残酷であるかに、後悔した。」

心象風景が、薄れる。
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低音で優しく呼びかける声がする。意識が浮き上がるにつれて瞼の奥から光が見えだす。ハッキリと聞こえてくるようになる。

「マスター。」

瞼を開く。一回、二回と瞬きをする。目を横に向けると、弓兵がこちらを見下ろしていた。

「マスター、体力は回復したかね」

「え、何が。」

「昨夜、大量の魔力消費をしただろう。一晩寝れば回復するというものでは無いほどだったからな。どうだ、痛い箇所などは」

「いや、大丈夫。まぁ大方お前のせいではあるんだけどな」

「それは失礼。何せ、目の前にいるひよっこマスターが、こちらも呆れるほどトロトロしていたものでね。」

「悪かったよ…」

「朝食は出来ている。早く部屋に来い」

霊体化しながら弓兵は告げる。底意地の悪いサーヴァントだ。何を言うにしても一言返さねば気が収まらないのか。

外は珍しく快晴。そういえば昨日バーサーカーに気を取られて忘れかけていたが、ルーディンオーズはバーサーカー、アーチャー、セイバーが乱闘して街がめちゃくちゃになっているのではないか。

修復費用がこちらに降り掛かってきたらどうしよう。アルラーナならこちらに向けてきそうで怖い。げっそりしながら降りた。