At home ページ26
「それじゃ、次会う時は敵同士って事で。」
「分かってるさ」
「次は…決着を着けましょう……」
皆、それぞれの住処へと帰る。安心して…それとも警戒して?少なくともノアードは後者だった。
弓兵がパスを切り互いに戦い、バーサーカーと戦いなんてしていれば夜は何が起こっても不思議ではない。
夜道を、握りこぶしを作って歩く。家はもうすぐだ。その時。
「見つけた。」
幼い少年の声が森の中で木霊する。暗い。何も見えない。家までは目と鼻の先だ。ここで襲われては弓兵を取り返した意味が無い。だが今弓兵の霊体化を解けば、間違いなく敗れ、消えゆくだろう。それが死ぬより嫌だった。
「サーヴァントを出さないの?まさか、ここで死ぬなんてバカな事言わないよね」
少年の声が聞こえる。でもどこから?敵を特定出来なければ判断のしようがない。
「やっちゃえ。ライダー。」
パァン。銃声の叫びが聞こえた。左腕に激痛が走る。思わず顔を歪める。こちらは弓兵と戦って心身ともにボロボロだ。相手はこれを狙ったのか。
すると、弓兵が脳内に話しかける。
『マスター。私が戦おう。なに、ヘマはしないさ』
『馬鹿野郎。マスターの汚名挽回ぐらい見守っとけ。』
銃声が聞こえたのは森の左側。利き手の右腕はまだ使える。これを持っておいて正解だった。使えるかは定かではないが。
少年はジャケットから50口径のピストルを取り出した。光が見えた方向へ1発撃つ。
ガサッと茂みが動く。あそこだな。躊躇いなく2発、3発と立て続けに撃つ。
「やめて!」
若い女性の声が響いたかと思った時、空に飛び出した金髪ツインテールの姿は赤を基調とした派手な格好をしている。目を見張る。こちらに銃口が向けられている。彼女はサーヴァントだ。
「逆鱗に触れたか……」
こちらは家に帰りたいだけなんだが。きっとあの幼い少年の声の主は彼女のマスターか何かだろう。マスターを守る事はサーヴァントにとって、なんら不思議な事はない。
銃口から遠ざかる。脇目も振らず突っ走る。こちらに駆けてくる音が後方からする。家に飛び込んでドアを思い切り閉め、鍵をかけた。
「Strengthening…!」
ドアに願う。力も入れた。どうか、ドアの強化を成功させてくれ、と。
ドアが冷たくなる。ドアの向こう側で銃声が聞こえる。ギン、ギンッと弾を弾くおとがした。思わず身を縮める。目を恐る恐る開くとドアは鉄の姿で佇んでいた。
その場に座り込んで安堵の息を吐いた。
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作者名:白咲 アオン | 作成日時:2017年12月11日 20時