Berserker ページ17
「バーサーカー。この街を潰せ。いいな、この小僧を特に塵すら残すな。」
「遠慮ねェな……いいぜ、やってやるよ…マスターさんよォ!!」
燻った金髪にギラギラと光る赤目、上裸の身体には大きな傷。得物は鎖で繋がった剣と槍だろうか。片方の肩には黒い刺青が施されていた。
一言で言って禍々しい。
「そんじゃまぁ…アンタからぶっ潰してやる。」
少年の前に立つ大男。少年はすかさず少女の手を引っ張った。
「アーチャー、セイバー!頼む!」
「了解した。」
「アナ、早く逃げるんだよ。」
「セイバー!」
「アルラーナ、早く。」
「逃がさないですよ、アルラーナ嬢。」
男はほくそ笑むが、アーチャーが行く先を拒む。男は心底この弓兵が気に食わなかった。何を考えているのか分からないというのもあるが、食えない男というのも頂けない。
「ここで死ね。バーサーカーのマスター」
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二人はアルラーナの家まで逃げた。幸いバーサーカー組は追ってこないらしい。多分サーヴァント二人が食い止めてくれているんだろう。
「私が得意としている魔術を知っているわね。私は錬金術を取り扱う者。だから」
ガシャッ、と子気味良い音が鳴る。彼女が出したのは短剣。だが、護身用という訳ではないらしく、隠す意味がないような立派な出で立ちをしていた。
「良いのか。俺達は今日だけ休戦だったはずだぞ。」
「良いのよ。私が好きでやってる事だから。これで明日私を殺してもいいし、マスターの誰かを殺してもいい。」
「あのなぁ…」
「私ね」
突然声のトーンが変わり、何だろうと耳を澄ますと暗い表情で話し出した。
「私、変な夢を最近見るの。辺り一面真っ黒。血溜まりよ。そしたら髪の長い、血で真っ黒に染まった子がいるの。肌が白い事だけ分かる。髪の色も、何色の服を着ているのかも分からない。けど、これだけ言い残して消えるの」
「苦しいよって。」
「それは……夢か?」
「ええ。夢よ。だけど、他人事じゃない気がして。この剣は夢が始まった時に枕元でいじってそのまま置いておいたものなの。あなたに渡したら何か解ると思って。」
「……預かろう。」
似すぎている。あまりにも似ている。何か、何か関係あるのか。
すると、霊体化を解く音が聞こえた。振り返るとアーチャーとセイバーが立っていた。
「とりあえず追い払った。ここまでは来ないだろう。」
「そう。ありがとうセイバー。」
彼女は半ば苦しそうに笑った。
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作者名:白咲 アオン | 作成日時:2017年12月11日 20時