Let's Dance! ページ15
「休戦って言ったって…なぁ…」
後ろを振り向くと、ロングコートを羽織り、ジーンズを履いた褐色の男性がいた。
「アッ…!?」
「何を驚く事がある。見慣れているだろう」
「見慣れてるけど…違和感が凄い」
「へぇ、アーチャーもおめかしするのね」
「そういう君も、セイバーが正装を纏っているけれど?」
アハハ、と笑ってアルラーナは話す。
「これは完全に私の趣味。だって、セイバーせっかくカッコイイのに何もしないのも勿体なくて。」
セイバーは少しだけ肩をすくめてヤレヤレという仕草をした。彼も戦意はないらしい。ほっとした。
「僕は霊体化するから良いって言ったんだけどね。彼女が聞かなくて。」
「勿体ないのにも程があるわ。」
「なぁ、セイバー。1つ聞きたいんだが、君とアーチャーの他にサーヴァントを確認したか?」
「いや。バーサーカーなら簡単に出てくるだろうと思ったんだけど、今回の聖杯戦争のバーサーカーは中々意固地なんだろう、姿を見せないのか、理性があるのか。とにかく急に出てきたら真っ先に潰されるだろうね。」
「そ、そうか…」
正直面食らった。彼は身内以外には全く口を開かないのかと思ったが、案外気安い。年齢もアーチャーより下だろう。外見だけで言えばの話だが。
「と、とにかく!今日はお祭り!休戦なの!私は踊りたいわ、えぇ、もう身体が壊れてしまうくらいには!」
花びらが舞う中、彼女はクルクルと回る。膝まである長い金髪がフワフワと波打つ。彼女の淡い青色の目は、今までのどんな色にも負けてはいなかった。
何を考えているんだ、と首を振っていると、手を引っ張られた。
「ほら、踊るわよ。」
「ちょ、俺踊れないから……セイバーとかと踊れって」
「いいえ、あなたのような初な人と踊るのが楽しいんじゃない。」
呆れた。もう最早あの時の冷酷な暗殺者ではなく、ただ単に祭りに胸をときめかせる少女と成り果てている。
「あー…まぁ、なんだ、1曲だけなら…」
「本当に!?あぁ夢みたい!」
少女は少年の手を取って踊りの輪へと連れ込んだ。
花びらが舞う。少女は頬を赤らめながら幸せそうな顔で白いワンピースを揺らす。
少年はこれはこれで良いか、と思った。年頃の女の子は大体こうだ。自分が疎いだけだ。
「今、とっても幸せよ!ありがとう!」
ただ黙って微笑んだ。
赤い髪と金色の髪がルーディンオーズをより一層美しくさせた。
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作者名:白咲 アオン | 作成日時:2017年12月11日 20時