Truth ページ14
今度はあの剣が地面に突き刺さっている風景。交互に繰り返している夢。何か意図があるんだろうが、それすらまともに考えられない。
広くて大きい背中。丘に立っている男性は、自分が憎くてたまらないと言うように、剣を何本も地面に突き刺している。
ふとこちらを振り向いて
「俺は、正義の味方に____」
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薄らと思い出される夢の内容。きっとあれはヤツの心象風景だ。胸くそ悪い夢を見させやがって。全く。
ハッキリし始めた頭を少し整理してみる。昨日見た夢は誰なのか分かったが、シロツメクサの少女の件についてはとんと分からない。俺に兄妹なんていない。それだけは確かだ。
考えても埒が明かないので、弓兵のもとへ行く。サーヴァントの夢をこんなに頻繁に見るものだろうか。
「アーチャー、ルーディンオーズへ行くぞ」
「あぁ。分かっている。」
霊子と共に現れた弓兵は普段と何ら変わりない仏頂面で立っていた。
家を出て、ルーディンオーズへと向かう。またアルラーナが居たら困るが、彼女であろうとこんな朝から喧嘩を吹っかけるほど馬鹿でもないだろう。
ルーディンオーズに着くと、朝だというのにやけに賑やかだった。
そういえば、今日は年に1度の祭りだったか。皆、楽しそうに笑っている。小鳥が果実をついばみ、花々は与えられた水によって神々しいほどに輝いていた。
周りを見渡すと予想していた事が起こった。アルラーナがいたのだ。
彼女は前回とは違って、涼し気な真っ白のワンピースに腰周りを色とりどりの花で囲んでいるシンプルな格好で、髪は解かれ頭にバラの髪飾りを付けていた。
その傍にあの騎士がいた。霊体化などせず、彼女同様白い衣装に身を包み、翡翠色の目を楽しそうに細めていた。
近くを通ると、誰かに引っ張られる。振り向くとアルラーナが腕を組んでいた。
「あのねぇ、お祭りだってのに黒い服なんて着てこないの。」
「知らなかったんだって。それに、その、白い服とか持ってないし」
嘘だ。前着ていた白い服ならあるが、ワンピースのような作りなのであまり外に出て着るものではない。
そもそも彼女は何故、殺されかけたというのに自分に話しかけてくるのか。困った表情をしていると、察したかのように上目で見てくる。
「もしかして、あんな酷い仕打ちを受けたのになんで話しかけてくるのかって顔してるわね。」
「当たり前だろ。」
「今回ばかりは休戦。」
少女は舌を少し出して笑った。
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作者名:白咲 アオン | 作成日時:2017年12月11日 20時