Another point of view ページ13
「見て見て!」
「すごーい…」
「綺麗だろ〜!」
キャッキャッ、と広くシンプルな部屋に反響する2つの声。魔法を使って生成される輝石を少年が手のひらの中で輝かせていた。
「どうやってやるの…?」
「腕から指先に意識を集中させて、頭の中で作りたいものを思い浮かべるんだ。そしたら誰にだってできる!」
「私も、やる…!」
今度は少女がムムム…と目を閉じて少年と同じように輝石を生産しようとした。だが、小さい石ころよろしくコロンと輝石の粒が落ちただけだった。
「やっぱり、お父様の言った通りなのね…」
「お前はまだ魔力が足りてないんだ。少しずつだけど手伝ってやるから一緒にやろう!」
「うん…!」
もうちょっと。もう少し。目を輝かせて輝石生産をする妹を口元を吊り上げながら見ていた。
大丈夫さ。お前の畏怖するお父様はもういない。お母様だって。お前が怖がる奴等は誰であろうが消してやる。なんたってお前は俺の可愛い妹なんだから。
そんなことはつゆ知らず、今目の前で兄の手を借りながら思い通りの物を作っている少女は魔力が身体に満ち、バラの輝石を作り出した。
「わ…!出来た、出来たよ兄さん…!」
「やっぱり僕の妹だ!やったら出来るんだよ!」
静かにはしゃぐ妹に賞賛を贈る兄。彼らの手には令呪が1画半、意味深に光る。その時。
「今度は成功したのね。偉いじゃないクロエ」
赤い海賊服に身を包み、金髪をツインテールにした長身の女性が赤い目を綻ばせながら二人に歩み寄ってきた。
「ミヒューズが手伝ったからだよ。アン。」
先程の女性より小柄で雪のように真っ白な髪を持つ少女は淡々と指摘した。
「ライダー。違うよ。これはクロエが一人でやったんだ。僕は手伝ってないよ。」
「例え双子の兄妹であろうと、違いは必ずある。それを自覚しなきゃいけないよ、ミヒューズ。」
少年は黙る。そうさ。そんな事は他の誰でもない、僕自身が1番分かってることなんだ。妹が自分より魔力量が多いという事も、それを自覚していない妹を見て優越感に浸っているという事も。
人並みの魔力を持っている僕でさえ、妹に負け劣るなんて。
「ラ、ライダー…違うの、違うのよ…違うから、兄さんを責めるのはやめて…!」
「僕達はミヒューズを責めてはいないよ。ただ、もし敵が来たらまだ弱いクロエを守れるのかい、と聞いただけだ。」
真っ白な髪の少女がクロエを優しく撫でる。クロエは半べそをかきながら、少女になだめられていた。
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作者名:白咲 アオン | 作成日時:2017年12月11日 20時