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Wake up ページ12

まただ。またあの白い風景。何ものにも染まらない金髪の少女のためだけにあるような世界。
今回もまたシロツメクサの冠を作っていた。でも、何かが違う。シロツメクサの一部が赤い。それはもう、唐紅のように。

「兄さん…」

少し寂しそうに少女が振り向いて言う。俺には兄妹なんていない。何もかも、謎だ。これは一体何の夢だ。

「兄さん…破らないで……これ以上、___…」

少女の声が遠のく。
__________________

「あー…」

外は大雨。暗く感傷的な部屋内。ロココ調の家具に濃く影を落とす。時計を見ると6時。暗すぎて午前なのか午後なのか分からない。

ムクリと起き上がり、いつもの部屋へ向かう。
衝撃的な光景が飛び込んできた。

「アッ…アーチャー…その髪型なんだ…?」

「なんだとはなんだ。これが私のオフスタイルだが。」

弓兵は普段オールバックにしている髪を下ろし、黒縁メガネを掛け、黒いVネックにズボンというラフな格好をしていた。顔立ちが顔立ちなので一層幼く見える。

「子供みたいだな。」

「失礼な。顔は流石に幼いとよく言われるが、体格を見ればそんな事は微塵も思うまい。」

どこを競っているんだか。とにかく自分より年下に見える。
試しに頭を撫でてみた。眉を寄せて大きな手で撫でていた手を払い除ける。楽しい。

「遊びは程々にして、次はどうするんだ。セイバーを確認しただけで他のサーヴァントは姿すら現さない。これでは不意打ちされかねん。」

「そうなんだけど…」

「なんだ。前回のセイバーに怖気づいたか。」

「違う。ただ……」

「私の身体を心配しているのなら余計なお世話だ。そんな弱気なマスターであれば、この安全な家で聖杯戦争が終わるのを震えながら待つといい。」

つまり、君をマスターとして尊重などしない。と。アーチャーらしい答えだ。

「そうだな。次はウィンドワーズ家辺りだ。セイバー戦みたく気は抜かない。」

「はてさて、ウィンドワーズ家はどんなサーヴァントを召喚しているのやら。」

その通りだ。まだアーチャーとセイバーしかサーヴァントを見ていない。展開が遅すぎる。
まぁ、こうもこちらがイライラしていては余裕が無くなってしまう。偵察くらいは頻繁にしておくべきだろう。

「明日、もう一度ルーディンオーズへ行こう。何か分かるかもしれない。」

「あぁ。分かった。」

背もたれに寄り掛かりながら弓兵は安堵の笑みを浮かべた。

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作者名:白咲 アオン | 作成日時:2017年12月11日 20時

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