婚約者VS父親 ｜【赤・黄】

１７ ページ17

ピンポン



緊張MAXな私たちは、ドキドキしながらドアが開くのを待った。




実家には毎年お正月とお盆休みには帰ってた。

お父さんともたまにメールのやり取りなんかもしてた。




でも、やっぱり改まって彼氏を連れてきてしまったと思うと、
高校一年のことしか頭になくって、ちょっと吐き気がするほど緊張した。




今日来るとメッセージした時も、

"婚約したら、彼を連れてくるね♪"




＿＿ではなく、




"合わせたい人がいる。来週の土曜空いてる？"




としか言わなかった。




ちゃんと分かったのかな？

二十代後半の娘が会わせたい人がいると言われると、普通一つしか思いつかないよね？




お父さんはそのメッセージに「空いとる」としか返してくれなかったから、
リアクションが全然予想できない。








ガチャ







あ。








「．．．おかえり。」





『．．．た、ただいま、お父さん。』









髪を暗くして、普段着を着たままのお父さんが出迎えしてくれた。



、、、この感じは、相当不機嫌だな。








「は、初めまして。Aさんとお付き合いをさせてもらっている、重岡大毅です。」









頭をさげる大毅。




手が、震えてる。





「入り。」





でもそんな彼の挨拶を無視し、お父さんは家の中へと戻ってった。





『は、はいろっか。』




なるべく明るく言った。




「うん。」




もうパニクってる表情の大毅。



この時点でもうアウトだったら、これからの先が不安。

お父さんは無視以上にいろんなことができる。

２２年間あの人と住んでいた私が言うんだから、

覚悟した方がいいよ、大毅。




少しでもその不安を消そうとし、私は大毅の手をぎゅっと握って、中へ入った。

１８→←１６

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す