その七 ページ9
「これでは話が平行線を辿ってしまいますね。御館様に鴉を飛ばします。あの時の竈門くんと同じく、今度は貴方が裁判にかけられますよ。」
「へぇへぇ。」
「実弥さん、裁判にかけられちゃうの? 死んじゃうの? 私嫌だよ……?」
「安心なさって下さい、不死川さんが処刑されることになったら、貴方も一緒になる筈ですので。」
……あぁもう、いちいち腹立つ女ね。
なんて心の中で悪態を吐きながら、私は実弥さんの胸の中にきゅっと収まっていた。
しばらくそうしていると、あの女が飛ばしたとかなんとか言っていた鴉が手紙を持ってきたみたいで、女はその手紙を読むと、「はぁ」とため息をついた。
「不死川さん、そのお嬢さんを連れて産屋敷邸に参りましょう。御館様がそちらのお嬢さんに会いたいと言っています。」
「……おう。しかし、此奴をどう運んでくんだ?」
「まだ日は登っていませんし、不死川さんの速さならば彼女を日光に当てないように走ることなど容易いでしょう?」
「……ッチ。」
実弥さんは小さく舌打ちをすると(私に向かってじゃないわ、あの女に向かってよ)、「ん」と私に背中を向けてしゃがんだ。
これは……乗れってことかしら?
「実弥さん、私小さくなった方が良い? ……その、重たいかもしれない。」
「あぁ? 女一人くらい余裕だわ。はよ乗れ。」
「……ん。」
実弥さんの背中に優しく体を預ける。するも、ふわっと浮遊感を感じたのち、足が地面から離れた。
実弥さんは「軽ィな」と言って、私が住み着いてたお屋敷を出た。
私は顔だけじゃなくて体も完璧なのよ。細過ぎず太過ぎずの見た目だけれど、実際は見た目より軽いもの。
「んふ、不死川さんのせなか、安心する……」
「寝るのは勝手だがよぉ、振り落とされんなよォ」
「はぁーーい。」
そう言って目を閉じた瞬間、ビュウッと強い風が吹いた。実弥さんが、走り始めたのだった。
私と実弥さんの後を、あの女が追ってきていた。
「(あの女、体から藤の匂いがするのよねぇ……眠気覚めちゃったわ。)」
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雪製レンガ - テストの山…私もその合間で見つけた…ジゴクダヨネ… (7月14日 20時) (レス) @page2 id: aacf113ce1 (このIDを非表示/違反報告)
実弥&左馬刻&勝己Love - 初めまして!凄く面白いです。実弥推しなので、嬉しいです♡このまま実弥とくっつけ笑笑更新待ち遠しいです。更新楽しみにしています( "´༥`" ) (2021年12月7日 12時) (レス) @page48 id: a5d4d80cb6 (このIDを非表示/違反報告)
まっひー - テストは私が殺ってやる!⇠ 作者様は夢小説をお書きになって下され!! (2021年11月30日 20時) (レス) @page3 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
ななななな(プロフ) - こんなにテストを恨んだことはない、、、!作者様に早く更新できるようにして差し上げろ! (2021年10月12日 13時) (レス) @page49 id: ed46f7b247 (このIDを非表示/違反報告)
もかやん(プロフ) - テストの山大変ですね…(>_<)ファイトです*(°̀ᗝ°́)و (2021年10月12日 0時) (レス) @page49 id: c0d5dab732 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士A | 作成日時:2020年1月13日 22時