その三十七 ページ40
「ふん、ふふ〜♪ ら〜ら〜、」
実弥さんが稽古に熱中している間、私は夕餉の準備をしていた。家事と並行してよく鼻歌は歌っているんだけれど、今日はいつもよりも増して上機嫌に歌っている。きっと、その理由もすぐ分かる筈よ。
コトコトと気持ちの良い音と美味しそうな匂いを出しながら絶賛煮込まれている鍋の中の具材をかき混ぜていると、何処からかドス、ドスという重そうな足音が聞こえてきた。
「来た来た♡」
にたり、と思わず口角が上がる。
もう直ぐ厨に到着するであろう足音は、近付くにつれてどんどん大きくなっていて、床に穴でも開けるつもりかしら、と心の中で呟く。
それでも私はその足音に気が付かない振りをして、上機嫌な鼻歌を歌い続けた。
ふふん、ふん♪と聞こえる私の歌声の合間に、「ねえ」という言葉が混じった。
無視、
「聞いてんのかよ、」
「ららら〜、ふーんふーん♪」
「っおい!」
「きゃっ!って何、危ないじゃないの!」
もう、すぐに手ぇ出すんだから。
荒っぽい女子は嫌われて……あ、元から好かれてなかったわね。
私の肩に手を置いて思いっきり私を振り向かせた女。その顔を見て思わず吹き出しそうになった私は決して悪くないと思う、だって、だって……!
「お前のせいで、不死川様にッ!!」
____ただでさえ不細工なお顔が、更に醜く歪んでるんだもの!
これでもかというほどキッと目を吊り上げて私を睨む不細工。あらあら、おめめが超絶細くなっちゃってるわよ、なんて言いたくなる気持ちを抑えて、私は何も知らないフリを決め込んだ。
「何のこと?私、実弥さんに何もしてないわ。」
「嘘だ!不死川様が、不死川様が私を切る筈が無い!だって私は先輩に仕事を押し付けられていた可哀想な女、そんな女を、不死川様が要らないって切り捨てるわけない!お前が、何かやったんだろ!」
「何それ、私ほんとに何もしてないわ。ただで居候させてもらうわけにはいかないでしょう?だからお礼に家事をやってたんじゃない。」
「うるさいうるさいうるさい!!」
あぁもう、そんなに大声出すと気付かれちゃうじゃない。
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雪製レンガ - テストの山…私もその合間で見つけた…ジゴクダヨネ… (7月14日 20時) (レス) @page2 id: aacf113ce1 (このIDを非表示/違反報告)
実弥&左馬刻&勝己Love - 初めまして!凄く面白いです。実弥推しなので、嬉しいです♡このまま実弥とくっつけ笑笑更新待ち遠しいです。更新楽しみにしています( "´༥`" ) (2021年12月7日 12時) (レス) @page48 id: a5d4d80cb6 (このIDを非表示/違反報告)
まっひー - テストは私が殺ってやる!⇠ 作者様は夢小説をお書きになって下され!! (2021年11月30日 20時) (レス) @page3 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
ななななな(プロフ) - こんなにテストを恨んだことはない、、、!作者様に早く更新できるようにして差し上げろ! (2021年10月12日 13時) (レス) @page49 id: ed46f7b247 (このIDを非表示/違反報告)
もかやん(プロフ) - テストの山大変ですね…(>_<)ファイトです*(°̀ᗝ°́)و (2021年10月12日 0時) (レス) @page49 id: c0d5dab732 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士A | 作成日時:2020年1月13日 22時