その三十一 ページ34
***
「(……意外と、可愛らしい寝顔)」
すぅ、すうと寝息を立てて眠る実弥さんをパタパタと団扇で仰ぎ続ける。こんなそよ風で大丈夫かしらと不安に思っていたけれど、そんな思いとは裏腹に、実弥さんは安らかな寝顔で眠ってくれていた。
……あまりにも無防備だと、すぐに喰べられちゃうかもしれないわよ、実弥さん。
ほら、こーんな近くに、とっても可愛くてとっても悪い鬼が居るんだから。くふふっ、と小さく笑うと、私は実弥さんに顔を近づけて、ゆっくりと口を開いて____、
「……ぃや、気分が乗らないわ。辞めときましょ。」
すぐに閉じた。
気分が乗らない、ってのも勿論理由の一つだけれどその前に、まだあの不細工を陥れていないもの。
ただでさえ不細工な顔が歪みに歪みきるのを見てから、実弥さんは美味しく頂きましょう。
稀血の中でも特に美味しい実弥さんを丸々喰べることが出来たら……、
「きっと私も、血鬼術を使えるようになる……!」
ずっと劣等感を抱えて来た。
無惨様のお気に入りなのに、私は血鬼術が使えない。他の鬼からの視線なんて気にしなくて良い、私が後で殺す。そう言われて来たけれど、私は何処か、気に食わなかった。
他人にどう見られようが私は構わないけれど、無惨様のお気に入りという地位に居るのにも関わらず、血鬼術が使えない私自身が嫌だったの。自分で自分を嫌っていたの。
だから、ごめんなさいね実弥さん。貴方には悪いけれど……、私のために、餌になってもらうわよ。
「西瓜、買ってきたわよ。」
「あらありがとう。じゃあ桶か何かに冷水目一杯入れて、そこに西瓜浸しておいて。ぬるくなったら美味しくないもの。」
「お前、何処まで私を____!」
「しー、実弥さん起きちゃうわよ?良いの?」
「ッ……!!」
不細工は悔しそうに口元をわなわな震えさせる。けれどだぁーいすきな実弥さんの前だからか、それ以上大きな声を出すことは無かった。ドスドスと言った足取りで帰っていくあの女の後ろ姿を見て、思わず笑いそうになっちゃったわ。
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雪製レンガ - テストの山…私もその合間で見つけた…ジゴクダヨネ… (7月14日 20時) (レス) @page2 id: aacf113ce1 (このIDを非表示/違反報告)
実弥&左馬刻&勝己Love - 初めまして!凄く面白いです。実弥推しなので、嬉しいです♡このまま実弥とくっつけ笑笑更新待ち遠しいです。更新楽しみにしています( "´༥`" ) (2021年12月7日 12時) (レス) @page48 id: a5d4d80cb6 (このIDを非表示/違反報告)
まっひー - テストは私が殺ってやる!⇠ 作者様は夢小説をお書きになって下され!! (2021年11月30日 20時) (レス) @page3 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
ななななな(プロフ) - こんなにテストを恨んだことはない、、、!作者様に早く更新できるようにして差し上げろ! (2021年10月12日 13時) (レス) @page49 id: ed46f7b247 (このIDを非表示/違反報告)
もかやん(プロフ) - テストの山大変ですね…(>_<)ファイトです*(°̀ᗝ°́)و (2021年10月12日 0時) (レス) @page49 id: c0d5dab732 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士A | 作成日時:2020年1月13日 22時