その二十三 ページ26
____翌日。
鬼だから眠る必要は全く無いんだけど、食事を充分に出来ていないから、少しの睡眠は必要になってくる。私は実弥さんが昨日用意してくれた布団からムクリと起き上がって、洗面台に向かった。
実弥さんは仕事の関係上、基本的に昼夜逆転生活を送ってるみたいで、まだぐっすり眠ってるみたい。
桶に貯めた水で顔を洗い流し、布でぽんぽん、と優しく水分を取っていく。今のうちに化粧も済ませておこうかしら、拠点から化粧道具を持ってくるのを忘れていたんだけれど、実弥さんがそれらも用意してくれたわ。(しかも私が使っていた割と高めの物を)
流石の私もちょっと遠慮しようと思ったんだけど、実弥さんが金は使わねえから腐るほどある。なんてことを言うものだから、甘えちゃったわ。
さ、お化粧開始……、というところで、実弥さんの屋敷のお庭に、誰かが足を踏み入れた気配がした。
鬼?いや、鬼ではないわね……この気配、人間だけどただの人間じゃないわ。気配を消す訓練を受けてる、といっても、褒められた消し方じゃないけど。
私は廊下を静かに滑るようにしながら移動して、縁側の方に回った。
「そこにいるのは誰かしら?」
バッと庭を見回す。そこには、紺色の短い髪の毛が特徴的な、見ず知らずの女が立っていた。女は突然現れた私にぎょっとして、けれど侵入がバレてしまったことに気が付き、すぐに体を反転させる。
そうは問屋が下さないわよ!私は女の手首を掴み、爪を鋭くさせて女の首に近づけた。「ヒッ」と小さな声を出して、女から力が抜ける。
なによ、侵入する勇気はあるのに、案外弱虫じゃない。
「離しなさいよこの女鬼!っあ……」
「この声、アンタもしかして……」
「チッ……」
忌々しげに舌打ちをかましたこの女は、まさに昨日、可愛がっていた後輩に裏切られどん底に陥れられた、哀れで可哀想なセンパイだった。
女は私の拘束から逃げ出そうと暴れるけど、鬼殺隊でも何でもない女の力で私に勝てるとでも思ってるのかしら。
「お前、昨日私が突き飛ばした時……」
「そんなの、態と大袈裟に倒れたのに決まってるでしょ。」
女の顔が歪んだ。
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雪製レンガ - テストの山…私もその合間で見つけた…ジゴクダヨネ… (7月14日 20時) (レス) @page2 id: aacf113ce1 (このIDを非表示/違反報告)
実弥&左馬刻&勝己Love - 初めまして!凄く面白いです。実弥推しなので、嬉しいです♡このまま実弥とくっつけ笑笑更新待ち遠しいです。更新楽しみにしています( "´༥`" ) (2021年12月7日 12時) (レス) @page48 id: a5d4d80cb6 (このIDを非表示/違反報告)
まっひー - テストは私が殺ってやる!⇠ 作者様は夢小説をお書きになって下され!! (2021年11月30日 20時) (レス) @page3 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
ななななな(プロフ) - こんなにテストを恨んだことはない、、、!作者様に早く更新できるようにして差し上げろ! (2021年10月12日 13時) (レス) @page49 id: ed46f7b247 (このIDを非表示/違反報告)
もかやん(プロフ) - テストの山大変ですね…(>_<)ファイトです*(°̀ᗝ°́)و (2021年10月12日 0時) (レス) @page49 id: c0d5dab732 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士A | 作成日時:2020年1月13日 22時