幼馴染が人妻好きだから私の愚行を許してくれ【桂小太郎】

第9話 授業中 ページ10

「因みにその吉田松陰は安政の大獄で殺されました。私のモデルの方ですね」




「メタイよ先生！！！」




3限目、松陽先生の授業。いつも通りにこにこ笑いながらメタ発言をした。



銀時達が泣くからやめて。





「まあ冗談はここまでにしましょうか。授業を続けましょう」




そう言って黒板の方へ向く先生。綺麗な髪してるなあ……


ストレートでサラサラで絶対いい香りするよなぁ……





「ヅラみたい……」



「何が俺みたいなんだ？」



「えっ、あ、え」




無意識に声に出していたらしい。ヅラに顔を覗き込まれ、顔に熱が集中してしまう。





「い、いや、なんでもな」


「俺に言えないことか？」




ゔ、と詰まってしまう。そんな子犬のような目で見ないでくれ。そんな端正な顔をこっちに向けるな。


嫉妬で殴りそうになるから。顔面偏差値分けろよクソ。





「……しょ、松陽先生の後ろ姿ってなんだかヅラみたいだなって…」


「俺はあんな聖人で立派な人間じゃないけどな。ロン毛だからじゃないか？背丈も同じくらいだろうし」



「……そうかもね」





私にとってはお前は下ネタ多めの聖人で立派な人間だよ。




……下ネタ多めって聖人じゃないか。





でもまぁ、設定に「なんかヅラを好きになってた」とか書いてあるけどさあ……





「ヅラ、ありがとうね」




昔のことを思い出し、私はお腹を撫でてヅラに言った。




いきなりお礼を言うなんて飛んだキチガイだと思うだろうが此奴は分かってくれる。





「Aなら、何時でも助けてやるからな」




そう言って小太郎は微笑んだ。







「そこ、いちゃつかない」



瞬間、私とヅラの間にチョークが飛んできた。後ろの黒板にチョークがぶっ刺さってる。






「ちゃんと生きてる……」




ヅラと声を重ねてそう呟いた。

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