甘い香りの小箱 ページ36
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あまりの恥ずかしさに、
勝己先輩を置いて店を出てしまった。
好きな人とお似合いだなんて言われて
嬉しくない人がいるだろうか。この世の中に…
「 おい 」
「 ひっ！ 」
数分して店から出てくる先輩。
まともに顔を見れなかった。
恥ずかしさと、申し訳なさで。
きっと気分悪かっただろうな …
心なしか先輩の声も不機嫌に聞こえた。
「 これ、やる 」
声と共に差し出された、ケーキの小箱。
ゆっくりと視線を上げ勝己先輩を見れば
先輩の顔はほんのり赤く染まっていた。
「 え、でも、これ、親の誕生日って 」
「 それは別に買ってある、からさっさと受け取れ 」
グイ、と押し付けられるので小箱を受け取る。
ほんのり甘い香りが鼻をかすめて、
無意識に笑みがこぼれた。
ぎゅっと、小箱を大切に抱きしめる
「 ありがとうございます！大切に食べます！ 」
「 おう 」
ぶっきらぼうな返事をして、先を歩いていってしまう先輩の姿がどうしようもなく愛おしくて堪らなかった
すぐに駆け寄り隣に並び、改札へと向かう
まだ一緒にいたい。
そう強く思った。
「 こんど！ 」
先輩の方を見つめ、声をかける。
返事こそないものの目は私をしっかりと見ていた
「 今度は、一緒に食べませんか。ケーキ 」
精一杯の笑顔でそう伝えた。
先輩は一瞬驚いたように目を見開いていた
けどすぐに前を向き
「 … いんじゃねぇの 」
小さな声だったけど返事をしてくれた。
嬉しくて嬉しくて堪らなくて、思わずニヤニヤと
頬が緩むけどそんなのどうでもよかった。
だってそれって、デートじゃんか。
「 なにニヤついてんだ気持ち悪りぃ 」
「 うるさいですね〜ケーキが楽しみなんですよ 」
先輩とのデートが楽しみなんて口が裂けても本人に
直接言えるわけなんてなくて。
でも、そんな私を見て先輩は
「 そうかよ 」
と小さく笑っていた。
そんな姿もかっこよくて、愛おしくて
もう私は完全に先輩の虜だった。
他の誰かなんて見れる気がしなかった
「 次の電車あと5分くらいで来ますよ 」
改札を抜け、ホームに到着する。午後6時を回る
この時間は相変わらず雄英生で溢れていた。
校内でも注目を浴びる勝己先輩の隣に立つのは
正直すごく恥ずかしい。けど、
そんなことが気にならなくなるくらいに
今は幸せだった。
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以恋(プロフ) - 宙さん» お褒めの言葉ありがとうございます（ ; ; ）続編の方もぜひよろしくお願いいたします！ (2020年3月7日 9時) (
レス) id: 3b71a2a429 (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - 作者様爆豪の飴と鞭使い方すごくどストライク(´∇｀) (2020年3月4日 16時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - え、何この小説。妄想すると自然と口角上へと向かっていきますね。え、控えめに言って最高です！これからも頑張ってください！ (2020年3月4日 16時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
以恋(プロフ) - Omisoさん» うわああ（ ; ; ）素晴らしいなんてとんでもないです！嬉しいお言葉をありがとうございます！続編の方ただいま作成中ですので、今後ともよろしくお願いします！（ ; ; ） (2020年3月3日 10時) (レス) id: c92cf6abc6 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 最後まで読みました！とても素敵な作品で物語の構成の素晴らしさに感嘆しました！！続編の方応援しています！ (2020年3月3日 0時) (レス) id: d4a65dd1ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：以恋 | 作成日時：2020年2月15日 3時
