＿ Ko.I ページ9
スーパーに買い物に行こうと外へ出ると、何かが勢いよく脚にぶつかる。
下のほうに視線を移すと、小さな女の子が俺の脚にしがみついていた。
『おにーちゃんたすけて！！』
彼女は息を切らしながら、涙目でそう訴えた。
あまりの必死さに、俺がこの子を助けなくてはという謎の使命感に駆られる。
「こっち！」
とりあえず女の子を家にあげ、リビングに通す。
「···どうしたの？何があったのかな？」
『おいかけられた···』
「そうか、それは怖かったね。追いかけてきたのはどんな人だったかな？」
『···ママ。Aがママとのやくそくやぶったらおこっちゃって、こわくてにげてきた』
「そう···か。じゃあ、その"約束"って？」
『おともだちとあそぶなって。でもあそびたくて、ママにだまってうちでていこうとしたら、みつかってたたかれちゃった』
「···え？」
そのとき、突然インターホンが鳴った。念のためモニターを確認して、そっと玄関扉を開ける。
「はーい」
《突然すみません、こんな子見かけませんでしたか？実はうちの娘なのですが···》
そう言って女性は女の子の写真を見せてきた。
そこに写っていたのは、今まさにここに逃げてきているAちゃんだった。
「あぁ、この子なら今うちで預かってますよ」
《そうだったんですか。良かった···。うちの子がすみませんでした。ありがとうございます》
「···ただ、引き渡しはできません」
俺がそう言うと、女性は目の色を変えた。
《何言ってるの、私はAの母親なのよ？！早く返して！！》
「自分の子どもに干渉して手上げて、そんな最低な母親に引き渡せるわけないだろ」
女性は目をつり上げて、焦った様子で俺に何か言い返そうとする。
「この件は警察に相談しますので。それでは、お引き取りください」
俺は玄関扉を閉め、すぐさま鍵をかけた。
『···ママかえった？』
「うん。もう大丈夫」
『おにーちゃん、ありがとう』
髪を撫でると、Aちゃんは少しだけ笑った。
「さて、今日の夕ご飯は何がいいかな？ちゃんと"助けて"が言えたえらいAちゃんにはご褒美あげちゃう」
『やったぁ！じゃあハンバーグ！』
「了解。滉お兄ちゃん頑張っちゃうよ！」
『こーおにーちゃんがんばれー！』
その日の夜、俺は初めて養子縁組を検索した。
(requested by ミミミのミ様)
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茜屋(プロフ) - kangarooさん» 良かったです🫶リクエストありがとうございました！！ (5月16日 16時) (
レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - 茜屋さん» リクエスト書いてくださってありがとうございます！！めっちゃきゅんきゅんしました...。 (5月16日 15時) (レス) @page29 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - kangarooさん» 承りました！リクエストありがとうございます！！ (2023年5月11日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - コメント失礼しますっ。リクエストで、傷跡シリーズの谷口書いてほしいです！いつもきゅんきゅんな物語ありがとうございます！！ (2023年5月10日 22時) (レス) @page28 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - おさすみさん» 了解です！リクエストありがとうございます💞💞 (2023年5月9日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茜屋 | 作成日時：2023年1月30日 8時
