後押し Junya.I ページ5
「ほら先輩、頑張ってください」
『むり、頑張れない···行きたくない·····』
俺に腕を引っ張られながらとぼとぼと歩くのは、うちの高校の生徒会長・A先輩。
ここ最近、先輩はずっとこの調子だ。
「生徒会活動遅れちゃいますよ」
『それよ、私が学校に行きたくない理由』
「え、嫌なんですか?あいさつ運動」
先輩はそうじゃない、と言ってため息をつく。
『別にあいさつ運動はどうでもいいの。私が嫌なのは、50分授業×7の後の生徒会と生徒会と生徒会···』
「確かに最近、やけに仕事多いですよね。先生の仕事も丸投げされてる気がするし、あの先生は一体何を考えてるのやら」
先輩は突然立ち止まり、鼻をすすりながらその場にしゃがみこんだ。
「···?!先輩?どうしたんですか?」
そう訊いてみても、ただ鼻をすするだけで答えは返ってこない。
とりあえず、背中をゆっくりとさすってみる。
「···ひとりで抱えて辛くなってちゃだめですよ先輩。俺も他の生徒会メンバーもいますし、それ以外にも味方はいっぱいいます。辛かったら辛いって言ってください。ひとりじゃないですから」
そう言うと、先輩は頬を伝う水滴を拭い、無言のままゆっくりと歩きはじめた。
「あ、そうだ。先輩、今日は生徒会来なくて大丈夫ですよ」
『···え?』
「無理は禁物です。授業終わったら速攻帰ってゆっくり休んでください」
あ、でも明日はちゃんと来てくださいね、と付け加えると、先輩は再び立ち止まって、俺の顔を不審そうに見つめた。
『···何企んでるの』
「·····さぁ?明日になれば分かりますよ。楽しみに待っててね、A先輩」
『···なにそれ』
生徒が過ごしやすい学校を作るためなら、俺は手段を選ばない人間なんでね。
(requested by 祈様)
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茜屋(プロフ) - kangarooさん» 良かったです🫶リクエストありがとうございました!! (5月16日 16時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - 茜屋さん» リクエスト書いてくださってありがとうございます!!めっちゃきゅんきゅんしました...。 (5月16日 15時) (レス) @page29 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - kangarooさん» 承りました!リクエストありがとうございます!! (2023年5月11日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - コメント失礼しますっ。リクエストで、傷跡シリーズの谷口書いてほしいです!いつもきゅんきゅんな物語ありがとうございます!! (2023年5月10日 22時) (レス) @page28 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - おさすみさん» 了解です!リクエストありがとうございます💞💞 (2023年5月9日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茜屋 | 作成日時:2023年1月30日 8時