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ナンパ Junya.I ページ28

とある休日の午後。

散歩がてら偶然見つけた小さなカフェで、3時のおやつと称して挽きたてのコーヒーとケーキを堪能している。


《お姉さん、そろそろ俺と連絡先交換しないッスか?!》

『ごめんなさい、仕事中なので···』


ふと少し離れたところからそんな声が聞こえてきた。そっちに目をやると、大量のピアスをつけたチャラ男と、困ったように眉を下げる女性店員さんの姿。


《じゃあ仕事終わるまで待ってるんで!》

『いや、あの···』



どうやらあの男はナンパ野郎らしい。しかもかなりしつこめの。

今ここにいるのは、俺と例の迷惑客と、他に数人。

流石に見て見ぬふりもできず、俺は店員さんを呼び寄せた。彼女は男に少々お待ちください、と声をかけて、こちらに小走りで近づいてくる。



『ご注文お伺いいたします』

「いや、実はそうじゃなくて···」

『え?』

「困ってるみたいだったので···。大丈夫でしたか?」

『!!』


俺がそう言うと店員さんは一瞬目を見開いて、小さく頭を下げた。


『助けてくださってありがとうございます!実はあの方最近よく来てくださるお客様なんですが、毎回あんな感じでして···』

「そうなんですね。出禁にはしないんですか?」

『お金はしっかり払ってくださりますし、変な恨みを持たれるほうがいろいろと面倒なので···』


彼女はそう言って苦笑する。そして突然、何かを思い出したかのようにエプロンのポケットを探ってあるものを俺に差し出してきた。



『これ、本当は5000円分以上注文してくださったお客様にしかお渡ししていないんですが、お礼に差し上げます。内緒ですよ!』


彼女が口元に人差し指を当ててニコッと笑った瞬間、胸が大きくひとつ波打った。


「あっ、ありがとうございます···」

『そうだ。お客様、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?』

「伊東純也です」

『純也様ですね!私、オーナーのAと申します』

「Aさん、ですね。コーヒーとケーキすごく美味しかったです。ご馳走様でした」


Aさんに直接お代を払って店を出ようとすると、背後から純也様、と名前を呼ばれた。



「またのご来店、お待ちしておりますね!」




その控えめで上品な笑顔に、再び心臓が変な音を立てた。







(requested by おさすみ様)

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茜屋(プロフ) - kangarooさん» 良かったです🫶リクエストありがとうございました!! (5月16日 16時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - 茜屋さん» リクエスト書いてくださってありがとうございます!!めっちゃきゅんきゅんしました...。 (5月16日 15時) (レス) @page29 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - kangarooさん» 承りました!リクエストありがとうございます!! (2023年5月11日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - コメント失礼しますっ。リクエストで、傷跡シリーズの谷口書いてほしいです!いつもきゅんきゅんな物語ありがとうございます!! (2023年5月10日 22時) (レス) @page28 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - おさすみさん» 了解です!リクエストありがとうございます💞💞 (2023年5月9日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茜屋 | 作成日時:2023年1月30日 8時

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